傷が付いても大丈夫。自分で復元する天然木パワー
床を剥がしてみると、大引組が全国的にも珍しい工法にしてありました。
床大引台とは、床の下地である“根太(ねだ)”のすぐ下に敷く部材のこと。建物の根幹を担う重要な箇所です。
この建物では、通常と同じく畳の下に床板、床垂木、床大引があり、その下に全国的に珍しい「床大引台」が使われていました。
「床大引台」とは名前の通り、床大引を支える部材のこと。昔は土台に自然の石を使っていたので床大引台を入れることが当たり前でした。しかし近年は、コンクリート基礎を使うようになり、床大引台を入れずに土台を組み立てられるようになりました。こうして昔の工法を直に見れるのもリフォームのよいところですよね。
他にも、床板には昔の人が工夫した跡がたくさん残っています。
例えば、1階の畳の下に床板にはカンナで仕上げた跡がありました。この床板は一般的な厚さ(並六分)で注文したもの。それを大工が床の厚さに合わせて四分五厘(1.35cm)ほどに仕上げたのです。
また、床板の長さも工夫されています。床板は床垂木の間隔にぴったり合うように設計。床板は3尺、床垂木はその半分の1尺5寸になっています。材木を余らせることなく、短い端材もきちんと大きさを整えて使っていることもわかりますね。
このように古い建物を建て替えるときは、昔の工法に出合うこともあるのが、面白いところです。