(2)かわいい直線定規にご用心!
皆さんは小・中学校の算数や理科で公式暗記に悩まされたことがありませんか?
学校では理論や考え方を最初に教えますが、結局は公式の丸暗記をさせられることになってしまいます。私はそれがいつも不満でした。そうです。私は丸暗記が大嫌いなのです。「百人一首」を丸暗記する宿題などほとんどしたことがありません。(和歌は嫌いではありません。念のため。)暗記物と呼ばれる社会科はいつも成績が低い状態でした。中学校で「宗教改革」を学習した後のテストは悲惨なものでした。採点したテストを返却したあと先生はみんなの前でこう言いました。「この中でルターもカルビンも書けなかった人が一人います。もう少し勉強してください。」私はテストの解答用紙を見ました。間違いなく私のことでした。
小・中学生の時、私は地学少年でした。自宅近くに大規模住宅造成地があり、係員が帰った後、犬の散歩ついでに造成地に入り込み、地層を観察し、粘土層に入っている化石を観察していました。そして自分の住んでいる地形が雨水の浸食によるものではなく、地殻変動によるものであると気づいていました。それを考えるのが楽しかったのです。それに対して地学的知識から入って、その地形が「あやめ池撓曲(とうきょく)」に起因するものであると知ってしまえば、何の面白みもありません。社会科の場合その多くが知識や暗記に頼ることが多いので面白くないのです。
高校に入ると地学授業がなく、すべてが実験観察の生物授業が待っていました。ここで私は生物青年に変身しました。実験観察を通して考えることが楽しかったのです。ですから生物のテストはいつも学年トップを維持していました。でも地学を忘れたわけではありません。近鉄電車で大阪の高校に通っていましたから、生駒断層に沿って電車が断層崖を通る様子や、上本町駅から日本橋駅へ上町断層の急勾配を通る様子を面白く眺めていました。考えて身につけたことは忘れません。
やがて大学進学は日本史学専攻に進むことにしました。それを知った級友などは大変驚きました。もちろん社会科の成績が低いことを知っていたからです。(さすがに世界史はあまりに成績が低すぎたので選びませんでしたが。)でも学校の成績で進路を選ぶというのは間違っていると思います。「社会に出て何をしたいか?」「何に興味があるか?」が大切なのです。
私の祖父は郷土史家でした。そして何よりも私は歴史遺産の中で育ちました。小学生の時は毎日西大寺の境内を通り抜けて通学していましたし、中学時代の悪友たちと遊ぶのは興福寺や元興寺のある奈良町付近で、夏は浮御堂の貸しボートでよく遊びました。また中学校の通学路には平城宮跡、法華寺、巨大前方後円墳が並ぶ佐紀古墳群がありました。自転車通学でしたので下校時には巨大古墳の周りをぐるぐる回ってみたり、平城宮や奈良の諸寺院に使う木材を陸揚げした木津川の港まで行き、その運搬ルートと思われる道を走ってみて、古代に思いを馳せていました。最近、平城宮建設時に破壊した巨大前方後円墳の跡が発見されたのですが、そこはまさに通学路でした。少し南の法華寺あたりは平地なのに、そこは不自然に盛り上がっている場所で、違和感を感じる場所でした。古墳を削った跡だと考えると、たしかに納得のいく地形です。
さて大学の日本史専攻は、日本史ではなく地理で受験して合格しました。地理の方が暗記が少なく成績は良かったのです。日本史では合格しなかったと思います。ただ実際に日本史関係の授業には苦労しました。基礎知識がほとんどないので、分からないことだらけでした。ただ従来の考え方に縛られず、自由な考え方で研究に取り組めました。歴史的記録には京の公家の日記のように信頼性の高いものがあるのに対して、神話や物語性の強い記録などはどこまで信頼していいのか分からないものも多くあります。「吾妻鏡」という記録の鎌倉幕府成立期の部分は物語性が強くどこまで信頼していいのか分からないといわれていました。そこで私は「吾妻鏡」に書かれている気象記録と同時期の京の公家の気象記録を突き合わせてみれば、ある程度真実性を推測できるかもしれないと考え、横浜の気象台に気象データをコピーさせてもらいに行きましたが、手書きで写すのは協力するが、コピーはだめと言われました。そこで範囲を絞って1日がかりで写させてもらいました。京都の気象台でも同じことをしました。その結果、大雨の中で戦った「石橋山の合戦」は物語性の強いうさんくさい話ですが、台風が直撃した中で戦ったと推測できることが分かりました。作り話とは言い切ることができないと思われます。今では歴史学の中に科学を持ち込むのは当たり前ですが、当時の教授には全く評価されませんでした。しかし私が卒業する直前に赴任された若い先生は高く評価してくださいました。私が苦労して書き写した気象データは今ではアメダスの記録として気象庁のHPに公開されています。今ならスーパーコンピュータにシミュレーションさせれば、もっと気の利いた結果が出せると思います。
大学では教職の資格も取ったのですが、両親をはじめ一族に学校教師が多くおり、その胡散臭さに辟易していましたし、教育実習をする中で、社会科の教師として生きていくのは面白くないと考えました。そこで塾関係のアルバイトをしながら考えたのですが、塾業界も健全に見えないし、解説をして問題集ばかりさせる受験屋はアホらしくてやってられない。そこで自分なりの学習塾を作ろうと考えたのです。学習塾を自営すれば理系の科目も文系の科目も自分で納得できる授業を作れる。自分なりに楽しいと思える授業ができれば生徒も楽しいだろうと考え、現在に至っています。
話が少し戻りますが、大学受験では国立大学も受験しましたが、無理でした。社会科よりはできたのですが、数学は高2あたりからついて行けなくなっていました。その影響で合格できなかったのです。そして生徒に算数・数学を教えながら、自分はどうして数学ができなかったのだろうか?微分積分などは面白いと思ったが、点数をとれなかった。なぜか?あるときひらめきました。「公式を暗記しなかったからだ。」小中学校の公式というものは毎日の生活感覚からそれほど離れていないから公式を覚えやすいのですが、高校以上になると生活感覚から離れていきます。それで公式暗記から逃げていましたので、数学の問題を解くのに時間がかかっていたのです。そこで割り切って公式を覚えていれば、もう少し点数をとれたはずだということに気づきました。
かといって生徒に無理矢理に公式暗記をさせるのも気が引けます。そもそも暗記から新しいアイデアが生まれるとは思えません。暗記は、悪く言えば、過去を引きずることです。暗記なんてAIにに任せておけばいいのです。人間は「思考」に専念しましょう。知識が必要になればAIに聞けばいいのです。子供たちには未来を創造する力をつけてほしいと思います。
そこで小学2年生の九九学習から高学年の「単位あたり量」「割合」さらに、湿度、濃度など中学レベルの物理計算まで、公式暗記なしで学習できる教材を開発しています。むしろその物理的概念を理解できていれば、公式を自分で作れるようになります。(特許出願済)丸暗記が大嫌いな人間が作った教材です。現在、第1段階の「九九学習」(特許7403204、特許7488951)の一部分のみを公開しています。(暫定版ですが)だまされたと思って試してください。でも本当にだまされたと思ったら、ごめんなさい。全人類に効果があるとはまだ証明されていません。ただデジタルでは始めたばかりですが、アナログでは30年以上前から実践している教材です。内容には自信があります。
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この教材は、正しく符号化するために学校や塾で学習する前にお使いください。
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