狭小敷地に建つスキップフロアの家
今回のお客様は、ネットを通してのご依頼でした。
初めてご訪問したときは、土地の形状に驚き、その手強さに思わず身構えました。
3層の土地一杯に、3階建ての住まいが建てられていました。
土地と建物の見え掛りと、内部間取りから、土地の広さ高低差を割り出すのは至難の業です。
図面はもちろん、正確な測量図もありません。
解体から新築まで、全てをお任せ戴くのは非常にありがたいのですが、既存の住宅がある状態でプランと見積を作り上げるには,
確かな知識と豊かな経験が必要です。
いくつかのボリュームプランと概算見積をお持ちしたところ、すぐにご発注を戴くことが出来ました
設計と施工の両方から高いノウハウで対処。
プラン、見積、確認申請、工事まで、一級建築士であり1級施工管理技士であるからこそ成し得たと自負しています。
整備された造成地なら、わずかな知識経験でも対応は可能です。
しかし、今回のような難しい形状と困難な隣接状況の敷地には、設計と施工の両方同時にトップクラスの判断決断が必要となります。
法規と構造の両方で確かな裏付けが必要です。
構造的には、下段の土地に木造で架台を組み、架台と上段の土地にまたぐ2階建てとしました。
3層の形状のため、そのままでは3階建てとなってしまいます。
そこで架台を外壁で囲み用途を発生させないことで、木造2階建ての取扱いと出来ます。
3階建てと比べると大きなコストダウンが可能となりました。
地番混乱地域の悲哀。
確認申請は無事に許可を取り付けましたが、もう一つ懸案事項がありました。
敷地が地番混乱地域だったことです。
字図と地番が符合せず、登記上の地番は全然別の場所でかつ担保価値がない位置にありました。
このため借入は二転三転しました。
ここでも法学部出身の設計士という柔軟な対処で、地元の銀行でなんとか融資を取り付けました。
道であって、道でない!?
最後の最後まで遺恨?が残ったのは、側道でした。
2項道路ではあるのですが、地番混乱で字図上に道がないため、行政は管理しないという不思議な取扱いとなっていました。
本来なら、側道の側溝に雨水を放流するのですが、許可がおりませんでした。
と言うより、そもそも管理していないから受付すらしないのです。
加えて、最上段の前面道路の側溝はあいにく反対側にあったため、お客様の費用負担で横断側溝を設置し流末処理する苦肉の策となりました。