人工膝関節置換術を受ける予定の患者様の骨粗しょう症有病率についてのお話
みなさまお久しぶりでございます。いろいろ忙しくて気づいたら1年ほったらかしでした。すいません。今回は人工関節以外のお話を4月から勤務予定の石田翔太郎先生にお願いいたしました。
コラム作者紹介
1.自己紹介
初めまして、2024年4月より橘病院整形外科に入職する予定の医師の石田翔太郎です。2023年9月まで神奈川県の寒川病院スポーツ関節鏡部門 https://www.samukawabyouin.com/department/orthopedics/staff/
に国内留学し、膝周囲骨切り術(AKO)と関節鏡手術(前十字靭帯再建術、半月板縫合など)を中心に勉強してきました。今回はAKOに関して少しお話させてもらいます。
2.人工関節が嫌な人へ 骨切り術という選択肢を
変形性膝関節症の手術加療と聞けば金属で関節を置換する人工関節が頭に浮かぶ方も多いと思います。もちろん素晴らしい手術で第一選択になることも多いです。今回紹介するのは金属を入れずに関節面の角度を矯正することで内反(O脚)や外反(X脚)を改善し、痛みを軽減するAKOについてです。膝は痛くて実際手術適応ではあるがまだ若いし、人工関節は入れたくないな、まだまだスポーツや仕事をがっつりしたいな、と考えている方には適しているものと思います。全国では様々な種類のAKOが施行されておりますが、今回は筆者が現在行っているAKOのうち2種類紹介します。
3.①内側開大式脛骨粗面下骨切り術(DTO)
以前このコラムで紹介された高位脛骨骨切り術(HTO)https://mbp-japan.com/miyazaki/tachibana/column/5120979/#h2-2
のデメリットである膝蓋骨(いわゆるお皿)の軟骨損傷などを改善した手技になります。軽度〜中等度の内反で膝蓋骨の変形がない方に適応となります。脛骨の内側から矯正する角度分の三角形の人工骨を隙間に入れて矯正します。
DTO術前
DTO術後
4.②外側閉鎖式高位脛骨骨切り術(Hybrid CWHTO)
この骨切りは上記DTOが適応ではない中等度〜高度の内反膝に適応となります。
膝蓋骨に変形があっても施行可能です。DTOでは三角形の人工骨を挿入して角度を矯正したのに対してHybrid CWHTOは三角形に自分の骨を切除することで矯正します。元来のCWHTOでは大きく三角形に骨を切除していましたが、その骨の切除量を減らして自分の骨を少しでも多く残すために開発されたのがHybrid CWHTOです。また変形性膝関節症の方の脛骨は後ろに傾いていることが多いのですが、それも矯正することができます。その傾きによって前十字靭帯が損傷しやすくなることもありますので、それが矯正できるのは膝関節にとって大きなメリットとなります。もし前十字靭帯を損傷、断裂したまま膝関節が変形した場合はこの手技に前十字靭帯再建などを追加することも可能です。
上記の他に大腿骨由来の外反膝(X脚)の方には大腿骨遠位骨切り術(DFO)、内反が高度で脛骨だけでは矯正できない場合にDFO・DTOを併用するDLOも施行可能です。
CWHTO術前
CWHTO術後
5.最後に
関節鏡手術、全置換術(TKA)、半分だけの人工関節(UKA)も施行しております。手術加療が必要な場合、その人にあった手技を選ぶことが大切と考えております。興味のある方は是非ご相談ください。
アロハの精神で頑張ります!