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小島岳史

人工関節手術支援ロボットを導入した整形外科手術のプロ

小島岳史(こじまたけし) / 整形外科専門医

医療法人社団橘会 橘病院

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コラム

人工股関節全置換術(THA)とロボット支援手術のお話し

2022年3月15日

コラムカテゴリ:医療・病院

前回のコラムでは人工膝関節全置換術(TKA)とロボット支援手術のお話しをしました。今回は人工股関節全置換術(THA)とロボット支援手術についてお話しいたします。

1、人工股関節手術とは?

変形性股関節症や関節リウマチなどで、股関節の軟骨が高度に傷んでしまいお薬やリハビリで痛みがとれない場合に適応となる手術です。股関節に10〜15cmの皮膚切開をくわえ、傷んだ股関節をリーマーという特殊な骨掘削器具で設計図通りに骨盤の骨を掘削し、人工股関節と人工軟骨を埋め込みます。手術時間は1時間〜2時間で入院期間が4週間〜8週間となります。

2、人工股関節手術のメリットは?

軟骨が傷んでしまったことによる股関節の痛みがすみやかに取れます。
左右の足の長さを揃えるので歩きやすくなります。

3、人工股関節手術のデメリットは?

筋肉、腱、神経由来の痛みは残存することがあります。
股関節に対して悪い姿勢をしてしまう(いわゆるとんび座り)と脱臼することがあります。脱臼を繰り返すと再手術になる可能性があります。

4、ロボット支援人工股関節手術とは?

人工膝関節ではボーンソーという電動ノコギリをロボットがコントロールすることによって正確な手術を目指しますが、人工股関節手術では骨盤の骨を掘削するリーマーという掘削機にロボット支援システムが導入されております。骨盤は血流が豊富で一歩掘削方向を間違うと大出血して命に関わる可能性があります。ロボットは計画通りの深さ、角度で骨盤を掘削できるようにコントロールしてくれますので、人工関節の設置ミスが極端に減り、さらに掘削ミスによる合併症を防ぐことができます。
そのロボットの設置精度を調べたところ、現在までに100%の精度で設計図通りに人工股関節手術ができていました。この道30年のベテランの整形外科医で同じ調査をしたところ、設置精度80%でした。そのベテランの先生も「おれの30年の苦労はなんだったんだ?」と白旗をあげておりました。

5、ロボット支援手術に保険適応は?

膝置換術と同様に股関節置換ロボット支援手術にも保険が適応されますので、普通の手術とほぼ変わりない値段で手術を受けることができます(ロボット支援手術加算で2000点追加のみです)。

ロボット支援のリーマー

ロボット支援リーマー

3D設計図

3D設計図

手術前後レントゲン写真。1度の狂いなく手術終了。

手術前後。1度の狂いなく手術終了

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小島岳史

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