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小島岳史

人工関節手術支援ロボットを導入した整形外科手術のプロ

小島岳史(こじまたけし) / 整形外科専門医

医療法人社団橘会 橘病院

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コラム

人工関節の耐用年数のお話し

2022年5月16日 公開 / 2022年5月27日更新

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 膝の痛みO脚 改善


1、人工関節耐用年数についての勘違い

私たちが人工関節手術を患者様に勧める際に必ずといっていいほど聞かれる質問が「20年くらいしたら入れ替えないといけないんでしょ?できるだけ歳を取ってから手術したほうがいいって聞いたことあるんですけど。」です。ほとんどの患者様がこのような認識をお持ちです。しかし実際の人工関節の耐用年数は20年以上です。具体的な数値では20年以内になんらかの理由で人工関節が壊れてしまって、入れ替え手術が必要になる割合は10%です。 ですので、残りの90%の患者様の人工関節は死ぬまでなんの問題もなく機能すると考えていいと思います。人工関節手術の手術技術や手術機械も日進月歩であり、医療の世界でも20年前の常識が現在では非常識となっていることはザラにあります。世間で知れ渡っている人工関節の耐用年数についても同じことで、「20年で入れ替えが必要になるんでしょ」というウワサは間違いといっていいでしょう。

2、入れ替えの危険因子

前回のコラムでも書きましたが人工関節感染は入れ替えの最も大きな原因です。また感染していなくても無菌性の人工関節の緩みというものもあります。また骨粗鬆症に伴う人工関節周囲の骨折も入れ替えの原因となります。 手術技術の原因としては、適切な角度で設置されていない人工関節やセメントを使う場合の不適切なセメントテクニック等(血や脂肪がついた状態でのセメント使用)が緩みにつながり再置換のリスクを上昇させます。

3、当院の取り組み

手術中に骨粗鬆症が疑われるような症例には術後より骨粗鬆症治療を導入します。またセメント使用の際は強度が落ちないように真空状態でセメントが作れる機械を導入しております。セメントを塗る際の骨の表面はパルス洗浄機で十分洗浄したあとに乾燥状態をキープしております。適切な人工関節設置にはロボット支援手術を導入し、1度の狂いも許さない制度を目標にして手術をしております。定期的な外来受診計画も実施しており、早期の不具合発見にも努めております。
感染対策と同様に我々は当院で20年間培ってきた経験と最近の知見を組み合わせ、患者様に最適な人工関節手術を提供できるようにしています。

THA術後            初回人工股関節全置換術術後レントゲン

THA再置換前            初回術後10年でセメントカップの破損

THA再置換後            カップ入れ替え手術後レントゲン

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