人工膝関節置換術を受ける予定の患者様の骨粗しょう症有病率についてのお話
1、人工関節感染とは
人工膝関節で約1%、人工股関節では約0.7%に術後感染が起きるとされております。人工関節に細菌が感染してしまうと、手術関節の痛み、発熱等出現し、抗生剤投与のみで解決できることは少なく再手術になってしまったり、関節機能が悪くなってしまったりします。整形外科医にとってはいちばん経験したくない合併症のひとつです。
2、感染の危険因子
患者様因子では、糖尿病や、皮膚疾患、未治療の虫歯、未治療の足の水虫等が挙げられます。
医療側の因子としては、手術2時間以上、手術室の環境、手術室内の人数、手術室の出入りの回数等が挙げられます。
3、当院の感染予防対策と感染率
患者様因子をできるだけ低減するために、術前内科評価による糖尿病コントロール、看護師による皮膚状態、歯科治療の有無、足の指のチェックを行なっております。治療が必要な危険因子については、治療が完了してから人工関節手術を計画いたします。
医療側の危険因子を低減するために、クラス1000のクリーンルームでの手術、手術ヘルメットの着用、手術ガウン2重使用、手袋2重使用、術中のパルス洗浄機での洗浄(6000ccの生食水)を行なっております。もちろん手術時間が2時間を超えることはほとんどありません。手術室内の人数も最小限6名(麻酔科医1名、執刀医1名、助手1名、機械出し看護師1名、外回り看護師1名、ロボット操作技師1名)にしております。
当院の最近10年の人工関節感染率は人工膝関節で0.06%、人工股関節で0.26%であり全国平均と比較してもかなり少ないと判断いたします。感染対策はエビデンス構築が難しい領域なので、どの対策が正解というものはありません。我々は当院で20年間で培ってきた経験と最近の知見を組み合わせ、患者様に最適な感染対策を提供できるようにしています。
クラス1000クリーンルーム
スタッフへの注意喚起
スペーススーツ
パルス洗浄機