櫨色(はじいろ)
おはようモーニング!
今日の日本の伝統色は菖蒲色です。
菖蒲色とは、菖蒲の紫の花の色に似た赤みがかった紫色のことです。
「あやめ」は花の色も呼び名も美しいことから、古くから用いられた色名ですが、もともとは襲の色名で「表・青、裏・紅または紅梅」が夏に用いられました。
染め色として現れたのは後世のこと。
江戸時代の染色技法の指南書『手鑑模様節用』には「あゐかちたるをききやうといふ、赤みかちたるを、あやめと、となふ」とあります。
最近は「菖蒲」の字は「しょうぶ」と読む方が一般的ですが、中世の日本では「あやめ」と読まれていました。
また、しょうぶの花はあやめの花に似たイメージがあるかと思いますが、実際のしょうぶの花は稲穂のような形であり、まったく別の種類です。
あやめに似た花は「花菖蒲」というまた違う種類になります。
ちょっとややこしいですね。
二十四節気が寒露(10月23日〜11月6日頃)から霜降へ変わりました。
霜降は、朝露がついに霜に変わる、そんな時季です。
秋もいよいよ終わりが近づき、朝晩の冷え込みが厳しくるこの頃、北国や山里では霜が降りはじめますが、平野では12月の初旬頃になります。
草木は枯れ、秋を惜しむかのように山は紅葉で彩られます。
七十二候では、10月28日〜11月1日頃を「霎時施 (こさめときどきふる)」と言います。
小雨が思いがけず降っては止む季節となりました。
この小雨とは、秋雨のようにしとしと降り続く雨ではなく、ぱらぱらと通り雨のように降り、じきに止んでしまうような「時雨 (しぐれ)」のことです。
晴れていたかと思うとサァーッと降り、傘をさす間もなく青空が戻ってくるような通り雨。
不意に訪れるものや、しきりに続くものを時雨に例え、「木の葉時雨」「蝉時雨」「空の時雨 (涙の意)」など、美しい言葉も生まれています。
ちなみに時雨は、北西の季節風が山地に突き当たり上昇するときに、冷えて雲を生じることによって雨を降らせます。
初時雨は、山の動物たちが冬支度を始める合図だといわれ、これからくる冬の寒さに備えます。
それでは続きをどうぞ!