塾長の考え(自立型個別指導)12
高校3年生のOくん。
どうしても防衛大学校に進学したい。
とうとう受験日が来週の土曜日に迫ってきた。
8月後半から、つまり、
お盆明けからずっと私は気にかかっていた。
「時間がなくなってきたぞ」と。
ここ10年間以上はずっとやっていない、
防衛大学の受験の対策。
受けた生徒はたくさんいる。
うちの塾生はほとんど合格しているが、
それは彼ら彼女らが勝手に合格しただけ。
学力が高い生徒たちだったから。
その生徒たちには対策を施さなかった。
それはその生徒たちが合格しても、
絶対に進学しないと宣言していたから。
高校の方針で受験をさせられていたから。
(合格実績確保のため)
まあ「公務員」になるのだから、
「進学」という言葉は適切ではないかも。
ただし、
そのときの生徒たちが受けた試験は、
「一般試験」であって、
実施は10月の最終週の土曜日だった。
今年も同じだ。
だが、
どうしても防大に行きたいOくんは、
来週の土曜日実施の「推薦試験」に臨む。
もちろん一般試験も受ける予定だ。
それならまだ今から1ヵ月と3週間後だ。
Oくんの学力の伸びがあるだろうから、
その試験ならば勝負になるはずだと思っている。
しかし、
来週の推薦試験には小論文がある。
この対策が私はしたかったのである。
合格レベルの小論文が書けるようになるには、
だいたい平均で今までの生徒ならば、
私の指導で2週間はかかる。
「え、たったの2週間で!?」
これはよく言われてきたが実際に可能だった。
ただし、
それなりの国語力がある生徒でないと無理。
さて、Oくんだが…。
「え、彼は生徒会長だったの!?」
その事実を知ったのはつい最近のこと。
それをもっと前から知っておくべきだった。
今になって後悔している。
それが事前にわかってさえいれば…。
わかっていなかったから何なのか?
打ち手が遅れた。
彼は生徒会長であるがゆえにこの数週間を、
忙殺されまくっていたのだ。
何にか?
体育祭である。
この準備に追われていたOくんは必然的に、
受験勉強の時間を大幅に奪われていたのだ。
なおかつ、
毎回塾に来るたびに疲労困憊状態。
眠い目をこすりながらの学習。
他の生徒たちは9月の半ばに受験ではない。
だから、
体育祭の準備に全力で取り組むことが可能。
そこに向けて全エネルギーを燃焼させようと、
毎日張り切って取り組む。
大多数の生徒にとって大学受験は、
来年の1月の共通テストだからだ。
しかし、
今回の推薦試験で合格したいOくんは、
来年の1月の試験には目もくれない。
試験は受けるが、
「進学に一切関係ないです」
そう強く言い切っているのだ。
そういうわけで今回の推薦試験。
これのウエイトは極めて大きい。
にもかかわらず、
毎日が体育祭のための準備で忙殺される。
「これは…マズいことになったな」
これが現在の私の心境である。
本人も同じような心境…のはずだが。
(続く)