塾長の考え(集団授業の落とし穴)②
悩みは誰にでもある。
それに上手に対処できるようになることが大切。
「只今に生きる」ことの大切さを前回述べた。
元々これは仏教の言葉である。
正受老人こと道鏡恵端(どうきょうえたん)禅師の、
「一日暮らし」という言葉にも出てくる。
「一日暮らし」とは端的に言えば、
「今日一日が生涯だ」という気持ちで過ごす姿勢。
正受老人は、人生の中で一番大切なことは、
「今日ただいまの自分の心なのだ」と、
はっきりと言い切っている。
戻らぬ過去を後悔してクヨクヨしてしまったり、
未だ来てもいない明日というものを心配するな、
今日ただいま目の前のことを一生懸命務めよ、と。
今日一日というのは、一生涯の一日ではなく、
『自分の全生涯が今日の一日である』と考える。
「自分の一生涯を今日この一日に詰め込んでいく」
こう考えることで悩みから自分を遠ざける。
これが悩み対処法の初手なのだ。
次に、
悩みを遠ざけるだけでなくて、
正面から立ち向かう方法を述べる。
1.(恐れている)最悪な事態をイメージする
2.そうなったときの自分を受け入れて覚悟を決める
「2」のときに不思議と肩の荷が下りる。
そして冷静になって考えることができる。
実際にその最悪な事態にはまだなっていないのだから、
そこで対策を考える。
対策の立て方の順番は、
①事態を冷静に分析する
②改善するための方法を考える
③改善方法を実行する
上記①~③が、
3.最悪の事態にならないように必死に努力する
ということの内容となる。
ただし、
この「対策」は生徒本人が、
全力で知恵を絞って考え出したものであれば、
すべて有効打となるわけではない。
やはりその道の経験者、
つまりプロ講師(塾)に頼った方が確率が上がる。
学校の先生はプロではあるが、
担当教科の「教えるプロ」であって、
受験対策というものを総合的に捉えて、
全教科の対処法を編み出してくれることは、
やらないし、できないのが現実。
ただし、
プロ講師(塾)もそのレベル差は激しい。
経験値が違い過ぎて品質は一定していない。
まして、
生徒は誰一人として同じ学力ではないし、
同じ志望大学でもなければ、
同じ志望学部、学科でもない。
塾に通う時間も回数もバラバラ。
自学力がある生徒とそうでない生徒では、
自習時間が多ければ効果が上がる、
そんな単純な公式も成り立たない。
通っている学校も違うし、
得意教科や不得意教科も違う、
使っている教材も違う。
少なくとも、
アルバイト講師(大学生)が指導できる、
それは教科の内容の説明か、
もしくは問題の解法であり、
生徒別受験対策のプランを立てたところで、
お粗末なものが出来上がってくる。
頼るわけにはいかない。
医学部医学科生であっても、
大学の教授と比べれば何もわかっていない。
それと同じ。
それがあたりまえ。
これはもう生徒本人の能力と運が大きい。
運がよければ…。
(続く)