塾長の考え(2次試験)
Cくんがついに国語の試験に合格した。
数日前にCくんが国語の答案を持ってきた。
点数は84点だった。
その試験とは…中学3年生が解く問題、
すなわち高校入試と同程度のレベルである。
「あの~、これなんですけど…」
「うん、何?」
「『塾長に見せてきて』と言われたんで」
「わかった」
Cくんの手から私に国語の答案が渡された。
各問題ごとに正答率が明記されている答案。
それを見れば国語の力の何が強くて、
何が弱いのかが瞬時にわかるように、
生徒はもちろん講師も一瞬でわかる、
そのように工夫されているものだ。
それを見る限り、
Cくんの弱点は中学レベルで言えば、
「説明文」というジャンルであることが、
明白にわかった。
中3レベルの問題で90点を越えないと、
高校1年生の学習に進めない仕組み。
それが北斗塾予備校のやり方である。
現在5月。
Cくんは現時点で中学生の国語レベルを、
合格するに至っていないという状況。
毎日2時間程度は国語の学習に、
時間を取られている。
それも小学生と中学生の国語のミックス。
予備校入学当初に受けたときは、
66点だった国語のテストである。
それが84点になった…というわけだ。
18点も上がったわけだが、
これはなかなかの成長ぶりではある。
しかしCくんの表情はこわばっている。
なぜこわばっているのか?
それは九大受験志望の自分が、
5月の時点で今でも中学生の問題で、
モタモタしているから、
「まだこんな問題ができないのか!」
などと私から言われるのではないか、
そういう不安があるからだろう。
こういう傾向はだいたいどの予備校生も、
どの塾生もほとんどもっている感覚だ。
小さい時からそういう経験をしている。
そういう経験とは、
テストの結果を自分よりも年上の人、
上位概念の人に見せたら…、
「批判される」という経験である。
それはたいてい「叱られる」という、
マイナスの経験が多く、
それが生徒本人の自己肯定感を、
著しく下げるので、
①自信喪失になったり、
②反発したり、
③投げやりになったり、
という態度に発展していく。
「叱る」という行為は愛情がないと、
「怒る」という行為になるのだが、
発言している方がどういう感情で、
今の自分に声をかけているのか、
それを子どもは敏感に感じ取る。
どう感じ取るかは子どもしだいであるが、
それにより①か②か③の態度になる。
もちろんこれらは「マイナス」の態度で、
言葉のかけ方によっては、
「プラス」の態度にもなるのだが、
同じ言葉であっても、
発言する上位概念者(親、先生など)が、
どういう気持ち(感情)で言うのか、
それが93%の影響を相手にもたらし、
発言した内容は7%の影響にとどまる。
この法則を知らないと、
親子関係だろうが友人関係だろうが、
塾の中での講師と生徒の関係だろうが、
すべてのコミュニケーションが、
不安定になる。
(続く)