塾長の考え(九大受験)12
宮崎西高校理数科の高3生。
優秀な頭脳の持ち主なのは明白。
将来の夢は…。
そう小学生の時と同じ夢のまま。
3~4年間の月は流れたけれども、
ずっと同じ夢を見続けている。
頼もしい生徒だなと思った…、
のもつかの間!
状況は実は順調ではなくて、
危機的な状況になっていたのだ。
「え、どういうことですか?」
「もう…本当にどうしようもなくて」
「何でそうなったのですか?」
「よくある話だとは思うのですが…」
「はい」
「義理のお母さんと一緒に住んでいまして」
「はい」
「息子のおばあちゃんになるんですが」
「はい」
「小学生の時からずっと甘やかしてしまって」
「お母さんが子育てをしているのに?」
「いやいや本当に大変なのですよ」
「どういうことですか?」
「私が少しでも厳しくしようとしても…」
「はい」
「おばあちゃんが甘やかすんですよ」
「…はい」
「逆に私が注意されたりして…」
「そんなことがあるんですか?」
「何を言っているんですか先生!」
「と、言いますと?」
「こんなことはよくある話ですよ」
「そ、そうなんですか」
「そうですよ、嫁姑の争いですよ」
「ええっ、そうなんですか」
「やりにくいことったら…」
「う~ん」
「私が厳しくしつけようとしても…」
「はい」
「息子はおばあちゃんに逃げるわけです」
「ああ…」
「結果、しつけができないわけですよ」
「それは困りますよね」
「部屋の中は片づけないし」
「はい」
「靴下も脱いだらそのままですし」
「はい」
「小さい頃から靴下を履くにしても」
「靴下…ですか」
「はい、どうぞってな感じですよ」
ここで片足を差し出すしぐさを見せられた。
「自分で靴下も履けないありさまです」
「えぇ…、そうなんですね」
「全部おばあちゃんのせいですよ」
「そ、そうですよね…」
「この前も学校に呼び出されて…」
「え、誰がですか?」
「私ですよ、私が」
「どういうことですか」
「提出物が期日を過ぎても出ていないと」
「あ、提出物ですね…そうなんですか」
「お母さんの教育はどうなっているのですかと」
「担任の先生に説教をされたんですか?」
「そうですよ、もちろん」
「お母さんが直接的原因じゃないのにですか?」
「そうなんですよ、腹が立つ…」
「学校の担任って、偉いんですね…」
「そんなに偉くはないでしょ!」
「あ、まあ、そうですね…」
「息子の不始末は全部母親のあなたのせいだと」
「え、そんなにハッキリと言うんですか?」
「言われましたよ」
「きついですねぇ…」
「何度も何度も謝ってきました」
「うわぁ…」
「何で私が謝ることになるのかと思って…」
「…そうですよね」
「本人は平気な顔をしているんですよ、先生」
「それは…いかんですね…」
「そんな感じですが…間に合いますか?」
「え、何が…いや、受験のことですよね?」
「は、もちろんそれ以外に何か?」
「いや、他にはありませんよね」
(続く)