塾長の考え(私大医学部受験)㉑
今日は日曜日だ。(しかし)
塾内は中間テスト対策の真っ最中。
今日も厳粛な雰囲気の中、
テスト勉強をする塾生だらけ。
ときどき学習室(教室)内で、
笑い声がひびくときは、
決まって同じ人が原因である。
それは…塾長である私。
私のギャグやボケで塾生が笑っている。
それ以外では誰も笑わない。
真剣そのものなのだ。
ちなみに日曜日に指導するのは、
高3生や予備校生以外となると、
10年ぶりかもしれない。
久々の日曜特訓の直接指導となる。
そんな中!
ときどき私をちらちら見ながら、
テスト勉強を進める生徒がいる。
中間テストがまさに明日から始まる、
▲▲中のKSくん(中1)。
明日のテスト教科に社会があるのに、
まだ完全に覚えていない。
「テスト前なのにこの状態??」
と驚愕(きょうがく)してみたが、
そこは落ち着いて対処する。
「今からがっちりと覚えればいいから」
「はい、わかりました」
午前中の3時間があっという間に過ぎる。
社会の地理にめどが立った。
その時!
「では、帰ります」
「は、え、何で?」
「おじいちゃんのところに行きます」
「え、何のために?」
「荷物運びの手伝いがあります」
「…」
「じゃ、帰ります」
「ちょっと待った!」
「何ですか?」
「歴史…覚えてないでしょ」
「はい」
「午後からやるって」
「そうなんですか?」
「いや、やるよ、そりゃ」
「…」
「お母さんに言いなさいよ」
「どう言うんですか?」
「『お母さん、荷物運びなんだけど』」
「はい」
「『ぼくみたいな非力な少年が』」
「はい」
「『行っても戦力にはなりません』」
「はい」
「『さらに明日は社会のテストがあります』」
「はい」
「『今ぼくは社会がピンチなので』」
「はい」
「『テスト勉強をさせてください』」
「はい」
「以上、セリフを覚えたね?」
「はい」
「じゃ、いったんさよなら」
「はい、さようなら~」
それから1時間後。
無事にKSくんは戻ってきた。
午前中に教えた学習方法を使って、
高速で学習していく。
最初こそいくつかミスがあったけれど、
それも持ち直して完全学習が進む!
あっという間に15時30分になった。
社会のテスト範囲が終了した(1回目)。
それで明日のテストを受ける。
「大丈夫かな~(やや不安)」
そんな私を尻目に、
「さようなら~」
と言ってKSくんは帰っていった。
やはりおじいちゃんのところに、
遅ればせながらお手伝いに行くようだ。
もしかしたら、
そのために超高速で学習して、
テスト範囲を終了したのかもしれない。
「そういうことか」
何が1番大切なことなのか。
KSくんはまだ中1だけれど、
それがわかっているようだ。
(続く)