塾長の考え(運命の分かれ道)②
「速読って本当に効果あるんですか?」
あるお母さんからの質問だった。
速く読めればいいわけ?
素朴な質問だった。
「速読できれば頭が良くなる」
そう言っている人(先生)がいる、
そのことについて疑問があるという。
確かにそのお母さんの言う通りで、
速く読めればいいわけではない。
速読力は大事だが、
1分間に3000字読める、
だから難関大学にでも合格する。
あり得ない。
その前に大事なものがある。
それこそが、
「読解力」。
ここで気を付けなければいけないのは、
学習する手順である。
読解力を養成するのには手間暇がかかる。
なぜならば文章を読解するという行為は、
単に「読む」ということとは違うからだ。
「読む」は声を出して教科書の文章を、
発声していくときにも使うが、
「読解」は文章だけに使う表現であり、
客観的かつ正確に理解するということ。
この力を養成してから後に、
速読をすることで高速処理の能力を、
鍛えるのならば有効。
では読解力を鍛えるには?
それこそが小学生の国語の学習、
あるいは中学生の国語の学習なのだ。
この段階を簡単に飛ばして、
速読の訓練さえすれば頭が良くなる、
そう勘違いしている先生や塾講師がいる。
残念だが手順前後である。
「あれ、おかしいな…」
親御さんが現実的にそう気づくのには、
相当な月日が経ってからだろう。
安易に信じたのが運の尽き。
学校の先生や塾講師であっても、
勘違いしている人はいるのだから。
1.読解力の養成
2.速読力の鍛錬
この手順が正解。
速読訓練だけで出来るようになるほど、
大学入試の国語は甘くはない。
簡単な例を挙げる。
A君という中学生がいたとする。
日本人の読む平均速度は1分間に、
400~600文字であるが、
その子が仮に速読力があるとする。
A君が1分間で1500文字読めると、
高校受験の国語でどうなるか。
(時間は60分、約8500文字)
読む時間…11分。
解く時間…36分。
見直しの時間…13分。
一見理想的な気がするが、
ここで注意すべきことがある。
このA君は高校入試の国語が要求する、
読解(学力)レベルに達しているか?
ここがポイント。
小学校の高学年が読む本で1分間に、
「1500文字読める」、
そう言われても入試は中3生の読解力、
それを要求している。
速読力を要求しているのではない。
2022年度の大学入学共通テスト。
これだとどうなるか。
(時間は80分、約21000文字)
読む時間…14分。
解く時間…48分。
見直しの時間…18分。
速読のスピードは1分1500字で十分。
それ以上は特には必要ない。
東大入試であっても変わらない。