塾長の考え(塾)その8
「速読って本当に効果あるんですか?」
あるお母さんからの質問だった。
速く読めればいいわけ?
素朴な質問だった。
「速読できれば頭が良くなる」
そう言っている人(先生)がいる、
そのことについて疑問があるという。
確かにそのお母さんの言う通りで、
速く読めればいいわけではない。
速読力は大事だが、
1分間に3000字読める、
だから難関大学にでも合格する。
あり得ない。
その前に大事なものがある。
それこそが、
「読解力」。
ここで気を付けなければいけないのは、
学習する手順である。
読解力を養成するのには手間暇がかかる。
なぜならば文章を読解するという行為は、
単に「読む」ということとは違うからだ。
「読む」は声を出して教科書の文章を、
発声していくときにも使うが、
「読解」は文章だけに使う表現であり、
客観的かつ正確に理解するということ。
この力を養成してから後に、
速読をすることで高速処理の能力を、
鍛えるのならば有効。
では読解力を鍛えるには?
それこそが小学生の国語の学習、
あるいは中学生の国語の学習なのだ。
この段階を簡単に飛ばして、
速読の訓練さえすれば頭が良くなる、
そう勘違いしている先生や塾講師がいる。
残念だが手順前後である。
「あれ、おかしいな…」
親御さんが現実的にそう気づくのには、
相当な月日が経ってからだろう。
安易に信じたのが運の尽き。
学校の先生や塾講師であっても、
勘違いしている人はいるのだから。
1.読解力の養成
2.速読力の鍛錬
この手順が正解。
速読訓練だけで出来るようになるほど、
大学入試の国語は甘くはない。
簡単な例を挙げる。
A君という中学生がいたとする。
日本人の読む平均速度は1分間に、
400~600文字であるが、
その子が仮に速読力があるとする。
A君が1分間で1500文字読めると、
高校受験の国語でどうなるか。
(時間は60分、約8500文字)
読む時間…11分。
解く時間…36分。
見直しの時間…13分。
一見理想的な気がするが、
ここで注意すべきことがある。
このA君は高校入試の国語が要求する、
読解(学力)レベルに達しているか?
ここがポイント。
小学校の高学年が読む本で1分間に、
「1500文字読める」、
そう言われても入試は中3生の読解力、
それを要求している。
速読力を要求しているのではない。
2022年度の大学入学共通テスト。
これだとどうなるか。
(時間は80分、約21000文字)
読む時間…14分。
解く時間…48分。
見直しの時間…18分。
速読のスピードは1分1500字で十分。
それ以上は特には必要ない。
東大入試であっても変わらない。