情報大洪水の時代(その16)
HKちゃんは予備校生であるが、
医学部受験専門コースであり、
塾長である私が全部プランを立て、
指導もほぼすべて私がやるという、
「塾長コース」での学習だった。
朝から夜まで毎日学習して、
なおかつ日曜日は個室型の自習室。
毎日頑張るこのコースは、
予備校生であり、
自覚もある浪人生であり、
目標が明確な生徒だから有効。
しかしながら、
このやり方だけがいいと勘違いして、
毎日塾の自習室に来て学習すれば、
その分だけ学習時間が増えるので、
いい結果が出ると勘違いする塾長が、
必ず出てくる。
自習を売りにする塾や、
毎日塾に来させるのはその典型だ。
親御さんも「お得だ」と勘違いして、
土曜日も日曜日もせっせと、
わが子を車で塾に送迎したりする。
それで効果が出たように見えても、
単発に終わることがほとんど。
長期的にみれば慢性的疲労が重なり、
塾に行っているというだけで、
集中して勉強をしなくなる。
結果、塾でボーっとしていたり、
眠っていたりすることが多くなる。
小学生や中学生であれば、
ウソついてさぼる生徒も出てくる。
高校生であっても、
「毎日塾に来いよ!」
(自習で手間がかからないから来いよ)
とそこの教室長が強制し出すと、
うんざりして塾に行かなくなる場合も、
出てくるだろう。
本末転倒だ。
実際の塾の中身(本当の状態)を、
親御さんは知っているのだろうか?
直接見に行くことは気が引けるはず。
だから、わが子に聞けばいい。
(わが子がどうかと聞くのではなく)
「塾に来ている他の子たちはどうなの?」
とだけ聞けばよい。
驚くべき回答が返ってくる可能性は高い。
勉強は本来、集中力を要するものだが、
メリハリのないこのやり方は、
生徒自身から「集中力」の大切さを、
日々奪っていく。
これが恐ろしい。
予備校は学校代わりなのでさておき、
学習塾の場合は、
通塾回数は3回がベスト。
1日おきに通塾するからこそ、
自立型になるための訓練ができる。
自宅こそがその修練の場所。
誰も見ていない自宅の自分の部屋。
そこで何をどうできるか?
そこで克己心を育めるか?
そこで思索を深めることができるか?
こういった経験の1つひとつが、
子どもを大人へと成長させる。
目先のテストに向けて毎日塾に通い、
「テストで50番上がりました!」
などと喜んでも、
それは一過性の出来事。
全力疾走は長くは続かない。
長きにわたって継続できる力配分や、
バランス感覚が大切。
日本刀の作り方をご存知だろうか?
「鉄は熱いうちに打て」、
という諺があるのは皆知っている。
しかし、実践できているか?
熱しては叩きその後急冷したり。
「折れず、曲がらず、よく切れる」
そうやって日本刀は作られる。
その「強さ」と「美しさ」を、
生徒の心の中に育てていく指導、
それが「自立型個別指導」だ。
塾と自宅と交互に学習する意義。
それをこの動画で認識してほしい。
(続く)