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塾長の考え(私大医学部受験)⑥

一木康広

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テーマ:塾長の考え

プロ講師
お父さんが娘を呼びに行った。

ひとしきり泣いた後だったが、

もう気持ちは落ち着いているようだった。



この日はもうこれ以上話はしなかった。

「よろしくお願いします」

「わかりました、娘さん次第ですね…」

「帰京してからまた娘と話します」

「わかりました」

「また東京から連絡します」

「はい」

「何とぞよろしくお願いします」

「わかりました」

「本当に、よろしくお願いします」

「…はい」



その翌日には電話があった。

娘も納得していると言っているので、

宮崎に行かせたいと。

住む場所を確保しないといけないので、

アパートまたはマンションを探しますと。



そして数日後に彼女はやって来た。

4浪目の勝負が始まろうとしていた。

東京での3つの予備校での経験を経て、

最終決戦は宮崎の北斗塾を選んだのだ。

覚悟が決まった生徒らしい澄んだ目だった。

私自身は意識してこなかったが、

30年間以上も指導をしてきている中で、

初日の生徒の目を見れば、

もう直感的にわかるようになっていた。

この生徒が1年後に合格できそうかどうか、

その判別が。

(…予備校生限定だが)

直感、

無論そんな簡単なことで合格はしない。

しかしながら控えめに言っても、

医学部医学科受験はかなり難しい指導だ。

的確に指導しなければまた落ちる。

専門的なことはここでは述べないが、

気安く「医学部医学科受験なら●●塾へ」、

などと言えるほど講師の戦力が充実している、

そのような塾は宮崎にはほとんどない。

地元の医学部生が講師だから大丈夫、

そんなことでは医学部受験攻略はほぼ無理。

もともと医学部医学科に合格しそうな、

そのような学力レベルの塾生の指導であれば、

バイトの医学部生講師でも大丈夫。

でもその程度ならプロ講師なら普通のこと。

自分の専門分野での対応になるが、

普通にできる、プロだから経験値も違う。

ハッキリ言うが、

「指導者」という立場は、

大学の医学部の生徒なら当然できますよ、

そういうものではないのだ。

むしろ、ほとんどできない。

少し考えてみたらわかるはずだが、

指導して教えて「育てる」となれば、

特に「育てる」という部分で、できない。

講師である彼ら彼女らがまだ子どもっぽい。

母親という大人の立場で考えてほしいのだが、

「育てる」という部分で、

親から仕送りされているバイトの学生講師が、

専門職としてやっているプロ講師よりも、

上手にできると考える方が、

おかしいと気づかなければいけない。

上手くできるわけはないのが現実。

上手くできますよと勘違いさせるのが、

塾の広告戦略の1つだが事実と大きく違う。

あくまでもバイトの医学部生が塾講師、

その場合の本当の「メリット」とは、

身近に本物の医学部生がいることで、

そこの塾生の目的意識が高まること。



生徒の学力を伸ばす教授力だとか、

指導力の勝負となれば話にならない。

それが真実なのだ。



(続く)

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一木康広
専門家

一木康広(塾講師)

株式会社北斗塾

生徒の学力と性格に応じて指導を変化させること。成績向上に必要な要素(①知識定着の確認②解法のための技術指導③やる気の発生・向上・継続のサポート④学習に最適な環境の整備)を提供し、学力向上へと導くこと。

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