塾長の考え(九大受験予定のKくん)
塾を「武器」として使おうとする以上、
わが子を起点にして考えなければならない。
塾が自宅から近いかどうか、
塾の合格実績がいいかどうか、
そういったことも気になるだろうが、
1番の決め手は塾と子どもとの相性である。
これが悪いと結果的に塾通いが継続しない。
ただしその前に親御さんは、
塾に対して何を期待するか。
それを明確にしておかなければならない。
それは2つある。
1つ目は「役割」。
その塾にどういった役割を期待するのか。
例えば、毎日行ける塾があるとする。
本当は週3回が指導日なのだが、
他の日は自習に来てもいいよ、
というようなスタンスの塾の場合だ。
このときの塾の役割は「勉強部屋」だ。
自宅では勉強がなかなかできない。
だから塾の自習室を使わせてもらいたい。
高校生が安易に考えることの1つである。
(小中学生だと嫌がる生徒が多いが…)
結果的に週6日は塾通いとなる。
いや日曜日も開放するという塾も、
それが自塾の特徴だと信じているので、
そこの塾生は「毎日」が塾通い。
この場合どういう結末が待っているか。
塾依存型の生徒の誕生となる。
「家では(勉強は)できない!」
という子どもの主張を真に受けて、
塾に思いっきり頼り続けると、
環境で左右される人間に子どもは育つ。
自主性および克己心が育たないのが、
その一番の原因となる。
コロナの影響とテクノロジーの発達で、
自宅でリモートワークすることが、
世の中の新常識になってきつつある。
塾依存型の訓練をされて育った生徒は、
会社という環境なら仕事がはかどるが、
自宅だとはかどらない。
このような社会人になるだろう。
ただし自習室提供の塾は多い。
親御さんにとっても、
自宅でスマホいじりをするわが子、
それを見ないで済むので、
精神的に救われるため喜んでいたりする。
わが子の未来が想像できていない。
わが子の成績不振の根本的解決に、
このやり方ではならないのだ。
わが子に本当に足りないのは、
「目的意識(自覚)」だ。
勉強時間の多さでカバーしようとする、
自習室提供作戦は「物量作戦」であり、
一時的に成績アップの結果が出るが、
長期的に見ると大したことにはならない。
普通レベルに落ち着くだろう。
意識の低いままやっているからだ。
感情の起伏に左右される弱さが、
生徒本人に残っているからだ。
このやり方を推奨する塾は、
参考書中心の自学をさせる塾か、
映像授業を使用する塾のいずれか。
生徒が毎日来たところで、
講師の負担が増えるわけではないから、
平気でこれを推奨するという理屈だ。
このやり方だと、
結局大学受験で合格できなかった生徒は、
缶詰で勉強することがすばらしいと、
塾生時代にしつこく教育されているので、
次の選択肢は「寮が厳しい」予備校を、
選ぶはずである。
また「依存する」方向で考える。
残念だが人生ずっとこの繰り返しとなる。
(続く)