塾長の考え(大学入試【2次試験】対策)②
お父さんとの電話が終わって数日後。
東京から娘と2人で本当にやってきた。
東京都千代田区から生徒が来て面談する。
こんな日が来るとは思わなかった。
娘HKちゃんは1年後に語ってくれた。
入塾の気持ちはこの時点で一切なかったと。
九州には家族で何回か旅行に来ており、
長崎のハウステンボスは数え切れず。
まだ来たことがなかった宮崎には、
観光のつもりでやって来た。
「宮崎の塾で合格するなら苦労はしない」
東京の一流と呼ばれる塾や予備校に、
何年間も通っていた身分としては、
そう思うことが当然だった。
「東京以上にレベルが高いわけないよ」
浪人中はどこにも旅行に行けなかったので、
ここで(宮崎の塾に)興味があるよと、
父親に言っておけば旅行になるな~と判断した。
「テレビで見ていたヤシの木とかあるのかな」
「神話の里ってどんな感じかな」
「海の色は沖縄と比べてどうなのかな」
面談が始まった。
お父さんの生い立ちの話から始まった。
(子どもの面談にしては珍しい展開…)
お父さんの亡くなったお母さんへの想い。
(HKちゃんのおばあちゃんにあたる)
そのおばあちゃんが、
娘(HKちゃん)にそっくりだということ。
(本当に似ているらしい)
娘を本当は手元(東京)に置いておきたいこと。
お金はいくらかかってもいいということ。
自分は開業医(目医者)であるということ。
東京の私立大学医学部受験は難化傾向で、
どんなに頑張っても娘が合格できないこと。
もしも今年浪人するなら4浪目になること。
小さい頃から娘も希望している医師への道を、
父親としてあきらめきれないこと。
娘は千葉にある私立大には合格していること。
娘の母親が入学の手続きは済ませているので、
4月からは一応そこの大学生になること。
そこに通うかどうかは娘に決めさせること。
今回は塾に入りたいかどうかを決めるために、
娘と2人で宮崎に来たこと…。
父親としては1年後に宮崎大学医学部医学科に、
合格出来るのならばうれしいとのこと。
娘が東京からいなくなることで、
自分が寂しくなる気持ちよりも、
娘の将来性が確保できることが大切なこと。
1つひとつの言葉をかみしめながら、
誠意をもって話してくれている姿に、
父親のわが子を想う気持ちの大きさが、
こちらにも伝わってきていた。
「本当にこの子を合格させることができるのか」
毎回そうなんだが面談の最中に自問自答する。
結果を出すことができそうだと思えば、
その旨を伝えて引き受けるし、
難しいと判断すればそれを正直に伝えている。
塾(予備校)に入るかどうかを、
第1に考えたことは今まで1度たりともない。
こちら側の問題になるのだが、
(合格させる)自信があるかどうかで、
塾として引き受けるかどうかを判断している。
実際に入塾するかどうかはその後の問題であり、
こちらに決定権はまったくない。
(続く)