塾長の考え(県立高校入試2日目)
先週の土曜日のことだ。
毎週1回だけ土曜日にお兄ちゃんとやって来る女の子。
現在中学3年生。
県立宮崎●●高校を推薦入試という形で受験した。
だいたい3ヵ月くらい前から通塾してきていて、
私と会うのは週1回だけ。
初めて来たときはお兄ちゃんといっしょに来たけど、
ちょっとだけ緊張していて落ち着かない様子だった。
「この子に■■の問題を解かせてみてよ」
私の指示でS先生が問題の用意をする。
この問題を解かせれば、
すぐに彼女の学力の状態がわかるから。
「その答案を後でこちらに見せるように」
一生懸命に問題を解き始めた中3のAKちゃん。
塾にはこれまで全然通ったことがないけれど、
それでもお母さんの(本当の)希望は…、
宮崎●●高校に合格して、
選抜クラスに入ること。
さてさて、答案が私の方にやって来た。
「なるほど…ね」
その場でS先生に次の指示を出した。
言われたことをうんうんとうなずいて、
素直に聞いて実行するAKちゃん。
彼女オリジナルの弱点補強用の学習が始まった。
あれから数ヵ月。
「あの…」
「ん、何?」
教室に入って来るとすぐに、
私の目の前にやって来たAKちゃん。
初めて塾に来たあの時と同じように、
ちょっとだけ緊張した様子だ。
もう塾には慣れているはずなのに…おかしいな。
「●●高校に合格しました!」
AKちゃんの笑顔。
「おめでとう! 良かったね!」
こうしてAKちゃんの推薦入試は、
合格という形で終わった。
お母さんの笑顔が目に浮かぶ。
「県立高校推薦入試」は、
「対策立てないといけない分だけ面倒くさいな~」
「(推薦入試の対策がある分)本番の入試に悪影響だよ!」
「(倍率が高いので)どうせ落ちるからチャンスじゃないよ」
という愚痴を言いたくなる塾の先生も必ずいるだろうね。
その気持ちも私にはわかる。
(小論文の対策が特に大変だからね)
でも、
中学3年生で自ら推薦文を書くという経験は貴重だし、
合格する生徒だって少数だけど必ず出てくる。
結果はダメになるかもしれないけど、
「挑戦する」という経験を積むことができたなら、
それは次の機会にも生かせることだと思う。
15歳の女の子が自分の未来に向かって挑戦した。
そういう事実が尊いと思う。