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国際ビジネスに必要な英語力とは?10年の海外在住経験から学習方法を考察

味水隆廣

味水隆廣

皆さま、はじめまして

初回のコラム投稿となります。漸コンサルティング代表の味水と申します。

第1回目は、自分の専門分野の一つである、国際ビジネスの観点から必要となる英語力について、海外でどのように学び、そして日本に帰国後、何をきっかけに学び直したかについてご紹介したいと思います。英語の勉強や留学にご興味ある皆さまのご参考となりましたら幸いです。

国際言語である英語は、今後日本の競争力向上、ひいては経済活性化のために必ず必要になってきます。たとえ日本にずっと住んでいても、ある程度のスキルが必要となる時代が来るでしょう。

一方、昨今の翻訳技術の向上により、他言語を学ぶ必要性を感じない人もいらっしゃると思います。確かに、特にライティングやスピーキングについては、差し迫った必要性を感じなければ、無理に学ばなくても良いと私も思います。

したがいまして後半では、英語をリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングのスキル別に、必要となるケースやその重要性について、それぞれ私なりに考察してみたいと思います。


1. 自分の英語歴について

まず、私が英語をどのように学び、活用してきたかを時間軸に沿ってストーリーで紹介していきます。ここで掲載している風景写真は、当時オーストラリアで撮影したものです。

1-1.焦燥と希望の中でのオーストラリア留学決断

19歳の頃、自分はほとんど英語が分からない状態で、オーストラリアのブリスベン市に語学留学をしました。

当時は人生に悩んでおり、「このままではいけない!」、「何か行動を起こさないといけない!」と焦りの気持ちでいっぱいだった事を覚えています。どこかに行けば「何かが変わる」と、鬱屈した現状からとにかく脱したいという願いと、そこから輝かしい未来があると信じて、それ以上何も考えず日本を飛び出しました。根拠はありませんでしたが、希望に満ち溢れ、将来の不安もそれほど感じませんでした。

ブリスベン郊外にて撮影
今思えば当時の突飛な行動は自分から逃げていただけですが、その時の状況を考えますと、やはりオーストラリアに行く決断は正解だったと思います。自分が何者なのかを知り、迷わずに生きていくためには試行錯誤の人生が必要でした。

話を戻しますと、2000年頃の日本は、バブル崩壊後で経済が縮小しつつありましたが、まだ欧米での影響力が大きかったことを覚えています。日本人というだけで「頭がいい」「まじめで信頼できる」などとポジティブに評価していただけたため、身の丈に合わない特別な扱いに戸惑うこともありました。

オーストラリアへ入国してすぐに語学学校へ入学し、その後ITの専門学校で数年間学びました。元々海外からの留学生が多かったこともあり、つたない英語でも何とか卒業する事ができました。

1-2.大学に入って飛躍的に向上した英語力

その後、ブリスベン市の中心にある大学(Queensland University of Technology)へ入学しました。専攻は電子とコンピューター学科です。もう15年以上前の話ですのでうろ覚えですが、確か下記写真の奥の建物が大学の一部だったと思います。結構大きなキャンパスでした。

奥の建物がQueensland University of Technology
韓国・台湾・香港・マレーシア・タイなど、アジアの国々からの留学生が沢山いました。しかし、日本人の留学生とは同じ学部で一度も出会う機会はありませんでした。“THE World University Rankings 2022”では、うちの大学は一応トップ200位に入る、現地でも有名な学校なんですけどね……

学生時に4EBラジオ局という所で、ボランティアとして日本語のラジオグループを立ち上げました。現地のコミュニティへ貢献したいという気持ちはもちろんありましたけれど、同時にホームシックで寂しかったという理由も少しはあった気がします。

4EBFMラジオスタジオ内部
様々な人々と一緒に学ぶ大学生活は全てが新鮮で、最初の学生生活2年間で自分の英語力は飛躍的に向上しました。アジア系だけではなく、欧米や中東・アフリカ系の友人も出来て楽しかったです。

ここで、一旦学びについて考察してみましょう。当時の経験から、何か新しい事を学ぶためには、その分野への『強い興味』と『切羽詰まった必要性』が非常に大事だと感じます。

元々欧米文化に憧れを持っていたので、オーストラリアでの暮らしに興味がありましたし、さらに最初から英語だらけの生活環境に身を置くことで、コミュニケーションのためにすぐにでも英語とITを勉強する必要性が生じました。結果、それらのスキルを短期間で身に付ける事が出来たのは、今考えると大きかったと思います。

ブリスベン郊外のクリーブランド付近
ただし、一つ注意事項があります。当初英語が満足に分からなかった自分のせいで、現地の方々にご迷惑を度々おかけしたと感じるからです。自分の事に精一杯でそこまで考える余裕はありませんでしたが、日本に帰国後いろいろ経験して気づきました。

留学やビジネスで海外に行く前に、相手国の言語や文化の違いを学んでおく事は、円滑なコミュニケーションおよび他国の文化への敬意を示す上でとても大事だと思います。

ブリスベン市内のメイン通り
仮にネット上のみで割り切ってビジネスを行うのであれば、翻訳ツールで事足りるかもしれませんが、実際に対面してとなると、言葉に表れてこない部分で解釈のズレが生じたりする場合があります。

もし親密な人間関係構築がビジネスの成功要因として大きなウェイトを占めるのであれば、相手国の情報を事前に学ぶことは、決して無駄にはならないでしょう。

1-3.マンネリ化による英語力停滞

大学生活も3年目、4年目に入ると少しずつ勉強に対する姿勢も変わってきました。英語の読み書きをそれ以上学ばなくても、何とか単位を取ることができたからです。

当時の私を自己分析しますと、自らのアイデンティティー確立を内面からではなく、外部に依存した結果、英語に対する興味および学ぶ必要性が薄れてしまい、結果として勉強する動機が希薄になってしまったと考えられます。

簡単に言い直しますと、私自身が精神的に未熟だったために、大学生活を自分でマンネリ化させ、結果英語力の停滞が生じました。

どのように物事を見るかで全ての価値は変わります。20代の私はその意味を理解できていませんでした。

最初は誰でも、自分が興味のある分野またはその分野を学ぶ必要性から、一生懸命学問に励むと思うのですが、ある程度学んで上達してくると、その分野に対する興味も学ぶ必要性も少しずつ薄れていきます。そのため、継続してプロとしての高みを目指すためには、『志を立てる』または『社会的使命を掲げる』ことが肝だと感じます。

1-4.日本帰国後に一時衰えた英語スキル

30歳頃、日本に帰国しました。それから少なくともコロナパンデミック前までは、日本に住んでいる限り仕事でもプライベートでも英語を使用する機会がほとんどありませんでしたので、能力維持の必要性もほとんど感じませんでした。

ごく稀に突然仕事で海外のお客様とお会いする事はあったのですが、普段はメールでやり取りするか、または日本語が話せる場合は日本語で対応したので特に問題ありませんでした。

このように日常で英語を必要とする環境にいないと、簡単に使い方を忘れてしまいます。特にスピーキング力を維持するのは、関連するお仕事に就いているのでもない限り非常に大変だと感じました。

例えば、10代や20代の方が(実際に使うかどうかは別として)就職のために英語の資格を取るのは理解できます。しかし、多忙な30歳を超えたビジネスパーソンがキャリアアップのために英語の資格を取ることについては、学習のための時間・費用を投資して得られるメリット(Return on Investment)を考えますと、個人的には疑問を感じます。

1-5.転機による英語の学び直し

初めはコロナパンデミックによる会社退職

最初に英語を学び直す転機が訪れたのは、コロナパンデミックをきっかけに会社を辞めたことでした。仕事でもプライベートでも、コロナで大きく人生が変わった人は多いと思います。私もその一人です。

元々コンサルタントとして独立起業したいという旨は、勤めていた会社にも伝えていましたが、当初想定していたよりもずっと早くその時期が到来したため、準備不足の中でのスタートとなりました。当時はそのことでいろいろ悩んだものです。

いくつか大きな課題がありましたが、メインのものを二つだけ挙げると、一つ目は『営業が苦手であること』で、二つ目は『専門性(強み)の見える化』でした。

一つ目の課題については、外部サービスプロバイダー(ex. マイベストプロ様など)に本来自分で行うべき営業・マーケティングの仕事を、部分的にお任せすることで解決を目指しました。

二つ目の課題については、英語の学び直しと密接に関連するため多少説明が必要となります。元々自分の専門とする分野(i.e. 経営戦略、財務分析など)にはかなり自信がありました。しかし、それらはお客様が私に仕事を依頼して初めて分かっていただける性質の付加価値でもありました。

会社員の時にはそれでも問題無かったのですが、自分でお客様を見つけなくてはならない今の立場では、大きな問題となります。したがいまして、私の専門性(強み)を国際基準で『見える化』できるよう、自らの知識・スキルを一流のプロを目指してさらに高めることにしました。これにより、サービスのパッケージ化(製品化)が可能になりましたので、守秘義務で過去の実績を公に説明できなくても、製品の購入前または仕事の依頼前に当社サービス内容を認知および確認していただく事が可能となりました。

新商品開発用財務予測モデル『ECベーシック』
実際に何をしたかと言えば、海外の戦略コンサルタントおよび財務アナリスト養成サービスへの会員登録です。それらは動画での学習がメインとなりますので、英語のリスニング力とリーディング力は必須でした。毎日動画を視聴した結果、すぐに英語の感覚を取り戻すことが出来ました。ちなみにこの時点では、ライティングとスピーキングのスキルは向上しなくても特に問題無かったので、そのままとしました。

次の転機は洋書の出版プロジェクト

次の転機は、洋書の出版話を聞いてから訪れました。私は共著者の一人(下記の左下写真)として、財務管理の観点からリーダーシップを論じました。2022年の3月に『NINE LEADERS IN ACTION』というタイトルで“FIRMSconsulting”様から出版されています。好評発売中です。

書籍『NINE LEADERS IN ACTION』裏表紙
当然、本を英語で執筆することになりますので、高度なライティング力(書く能力)が必須となります。執筆期間は財務モデル作成の時間を含め、全体で45日間しかありませんでしたので、グーグルの翻訳ツールなどを活用しつつ、英語で文章を書く感覚を取り戻すために全力で頑張りました。

完璧ではありませんでしたが、少なくとも編集者の方にちゃんと意味が伝わるレベルまでは文章力が向上しました。“FIRMSconsulting”のCEOであるクリスさん(写真左上の女性です)からもクオリティが高いとほめられました。やはり、ここでも「学ばなくてはならない」という強い動機があったので、短期間で学び直すことができたようです。

自転車に一度乗れるようになると、しばらく乗っていなくても体が覚えていて再び乗れるようになるのと同じで、過去に学んだ英語力を取り戻すだけでしたら、時間もそれ程かからないのかもしれません。

特に今は信念を持って学んでいますので、学問の質(i.e. ピンポイントで効果的に学ぶ能力)は若い頃より大きく向上していると感じます。

学校で人から『何を』『どのように』『どれだけ』学ぶかを決めてもらうより、必要な分だけ自由に学べる、独学の方が私には向いているようです。

2.ビジネスを前提に効果的な英語学習方法を考察

ここからは、前段の英語歴を踏まえ、ビジネスでの効果的な英語習得の方法を考えてみたいと思います。

資格取得に関しては、年単位での計画が必要になりますし、就職・ビジネスを有利にするための手段であって、無ければ学べないものではありませんので、ここでは言及しません。現に私は英語に関する資格は何も持っていませんが、洋書出版プロジェクトに参加したり、書籍執筆の際には全く差し障りはありませんでした。ただし、オーストラリアの大学入学時には必須だったので、当時IELTSのテストは受けました。

2-1.リスニングとリーディングのスキル習得について

英語のリスニング(聞く)とリーディング(読む)スキルについては、たとえ日本に住んでいてかつ仕事ですぐに使う予定はなくても、日常的に学んでおくことを私はおすすめします。

円安・資源高などの現状の問題のみならず、人口減少の著しい日本では、中長期的に厳しい競争にさらされます。現在日本だけで事業をされている方も、今後は海外に目を向ける方が急激に増えていくと予想されます。

国際社会では、政治・安全保障の観点から経済はブロック化され、情報・物資・サービスなどが主にその中で流通するようになると思われます。そのため、利害関係の大きな国同士では、発信する情報にさらなる差異が出てくることは避けられないでしょう。ビジネスでは情報が成功のカギとなりますので、日本語に翻訳された二次情報に加え、現地で発信されている一次情報をいつでも把握できるようにしておくことは非常に重要と考えます。

またオーストラリアにいた時、韓国・台湾・香港の学生はほとんど英語を使う事ができました。特に韓国では、10代の頃から物理などを英語で学んでいたそうです。今のサムスンや台湾の半導体分野での躍進は、専門の垣根を超えた英語教育も関係しているかもしれません。

日本も経済が強かった頃までは、勉強を全て日本語で行っても問題なかったと思います。しかしながら、ホームページでも書いていますが、私が『国際ビジネスの競争力向上に貢献したい』理由は、他のアジアの国々の人々と一緒に何年も勉強してきた体験から、日本の現状に危機感を持っているからです。

すぐに必要でなければ、お手軽な方法で英語を学べば良い

特に急ぎでなければ、興味のある動画や漫画などを日常的に英語でご覧いただくのが、お手軽に実践できて良いでしょう。特別な事をしてもすぐ忘れるだけなので、継続を第一として勉強する事が大事です。

私が会社員だった時には、海外のドラマや映画は必ず字幕で見るようにしていました。さらに音声と字幕の両方を設定可能であれば、どちらも英語設定にしますと、聞き取りづらいフレーズも分かるので、楽しみながらの学習目的には最適だと思います。

すぐに英語を習得したい場合は、海外の教育サービスを検討する

コロナパンデミックを契機に会社を退職した後は、前半でのご説明のように自社サービスを『見える化』できるよう、さらなるスキル向上という切羽詰まったニーズが生じましたので、海外のビジネス教育サービスをリサーチし、オンライン登録をして学習を始めました。

その過程で本の出版話があり、トントン話で契約が進んだので、単にネットで学ぶだけだと甘くみてはいけません。そこからビジネスに繋がることだってあります。(そういう熱心な教育機関では、尖った能力を持った人やテストで高得点を継続的に取っている人などを、定期的にチェックされているようです。私自身、企業から個人的にサービスのレビューをしてほしいと依頼されたこともあります)

もちろん、海外のサービスだったらどこでも良いわけではありませんので、実際に私が利用したオンライン教育サービスをホームページ(漸コンサルティングサイト)で紹介しています。ご参考にしてください。

2-2.ライティングとスピーキングのスキル習得について

次に、文章を英語で書くライティングと会話するためのスピーキング能力についてですが、あくまで私の個人的意見として、日本に住んでいてかつ明確な目的がない場合、必要になったら集中して学べば良いと感じています。

理由は前段でもお話しましたが、この二つの能力は常に書いたり話していないと、すぐに使い方を忘れるからです。使う見込みのないスキル維持に時間とお金をかけるより、他のことに使用する方が有意義でしょう。私はそう割り切っていますので、現在外国の方とリアルタイムでの英会話はしませんし、出来ません。

ライティングスキルが必要となるケース

もし海外の方とネットでビジネスをするのであれば、ライティング能力は必須と考えます。

たとえ英会話に多少自信があっても、仕事ではメールでのやり取りをおすすめします。理由は明確で、仕事の要件や約束事などの記録がはっきり残るからです。日本人同士でも同じだと思いますが、会話だけで話を進めると、後で勘違い・思い違いが生じてしまう可能性が高くなります。一度相手の信頼を無くしてしまうと、後で関係修復が困難となりますので、私は重要な確認は常にメールで行います。

それと文化の違いもあるでしょうが、海外ではたとえ自分がお客様の立場であっても、日本と違って何かあっても丁寧に対応してくれないケースが多々ありますので、交渉する際には注意が必要です。一方で、あんまり細かい確認をすると相手の印象を損ねることもありますので、経験や勘に基づくバランス感覚がかなり重要だったりします。

私の場合は書籍出版の交渉も、出版プロジェクトの進捗確認なども、全てメールで行いました。ライティングの能力を最大限に発揮できるメールだからこそ、効率的にかつ有利な条件で話を進める事ができたと感じます。

例えば、書物をご覧いただきますと、他の共著者と比べ私の章だけ内容が随分異なること(ケーススタディでの説明やチャートの挿入など)にすぐお気づきになるかと思います。これは、事前に責任者であるクリスさんと十分な内容確認を行い、許可していただけた事で実現できました。おかげさまで、非常に満足する出来となりました。

私のように実際にネットで海外の人とプロジェクトを進めたり、コミュニケーションを取るのであれば、スピーキングよりもまずはライティングスキルを優先して向上させることをおすすめします。

スピーキングスキルが必要となるケース

最後に、一般的にどのようなケースで英会話が必要になるかと言いますと、真っ先に思いつくのが外国に滞在する場合だと思います。人間関係の構築は仕事でもプライベートでも大事ですし、海外に住む場合は特に現地の人と会話できないと生活すらままなりませんので、必須のスキルです。

現実には日本に住んでいてもZoom等を使って海外の方とオンラインでコミュニケーションを取ることもあれば、日本に住んでいる外国の方と一緒に仕事をしたり、英会話塾を運営されているなど、スピーキングスキルが必要となるケースは多々あると思います。ただ、それらは特殊なケースだと思いますのでここでは言及しません。

中には英会話のスキルで英語力を判断する方もいらっしゃいますけれど、日本に住む日本人がビジネスでスピーキングのスキルを必要とするケースは限られます。

また経験上、日本人が海外の方とのビジネス交渉を英会話で行うのはおすすめしません。知識が豊富かつ頭の回転が非常に早い方であれば、全体のビジネスを考えつつ英語でやり取りし、その上で有利な条件に持っていけるかもしれませんが、私も含めてですが多くの日本人には若干ハードルが高いと感じます。

利害関係のあるビジネスの場合、英語が母国語の方とリアルタイムで意思決定を行うような交渉は避けた方がいいでしょう。

3.まとめ

以上となります。今回は国際ビジネスに必要な英語力や学習方法について、10年の海外在住経験から考察してみました。

初めてのコラムという事もあり、想像以上に長文となってしまいましたが、その分、ビジネス目的で英語の勉強を検討されている方には、包括的に情報をまとめることが出来たかなと感じています。

オーストラリアでのエピソードは、当時を思い出しながら、英語習得に関係すると思われる部分を中心にご紹介しました。

20代をずっとオーストラリアで過ごし、最初は何もかもが新鮮で面白く、生活でも必要だったので、学習は加速度的に進展しました。しかし、何年も経ってくるとマンネリ化してきます。継続して学び続けるためには、その分野に対する興味や必要性だけでなく、自ら志を立てたり、社会的な使命を掲げるなど、精神的・内面的な動機を持つことが重要です。日本に帰国後は、英語を使う必要性が無くなったので、書き方や話し方をすっかり忘れてしまいました。

英語およびビジネスの専門分野を学び直す最初の転機となったのは、コロナパンデミックに起因する会社の退職でした。プロのコンサルタントとなるため、海外のオンライン教育サービスに登録し、リスニングやリーディングの感覚を取り戻しながら、専門スキルを磨き上げました。英語でのビジネスチャンスがいつ到来するか分かりませんので、聞く力と読む力は常に高めておくことをお勧めします。

次の学び直しの転機は、洋書の出版プロジェクトに参加した時です。交渉や本の執筆を通して、ライティングの感覚を取り戻し、さらに大学時代よりも洗練された文章を書くため、一生懸命努力しました。

ライティングとスピーキングスキルについては、日本に住んでいる方が普段から能力を維持するのは大変なので、必要になったら集中して勉強しましょう。それが多くのビジネスパーソンにとって、時間・費用を投資して得られるメリットの観点からの現実解と思いました。

このコラムでは、私の個人的経験をベースに、英語の勉強にご興味ある多くのビジネスパーソンに当てはまると思われる内容を書きました。実際には、国際ビジネスで必要な英語力とは、取引相手がこちらにどれだけの英語力を期待しているかでも変わってくるので、自分だけで決められるものではありません。

また、相手からの英語力要求レベルを事前に把握するのは困難ですので、交渉の中で見積もります。他のビジネススキルが高ければ、英語のスキルはそこまで求められない場合もあるからです。ケースバイケースで一概には言えませんので、柔軟に考える必要があります。

これ以上は本コラムの主旨を超えますので、ここを一つの区切りにしようと思います。

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

ホームページでは本コラムの小話もご紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。

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