本当に処分していいのか。遺品整理で罪悪感など不安を感じる
故人の意志や希望を尊重する上で、まず探すべきは遺言書とエンディングノートです。遺言書には法的効力があり、遺品の処遇にも関わってきます。作業はトラブルを避けるために、全員で話し合ったのちに代表者が行いましょう。
遺品整理は、遺言・エンディングノートの確認から始まる
誰かが亡くなった後にやらなければならないことは、数多く出てきます。家や預貯金、有価証券などは法にのっとって相続人が引き継げばよいので、粛々と進めることができます。
扱いに頭を悩ませるのは、大量の生活用品や家財道具の存在です。こうした遺品整理には明確な処分の基準も、定められた期限も設けられてはいません。
それだけに、「いったい何からどうやって手を付けてよいのやら」と、困り果ててしまう人も少なくないでしょう。
良かれと思って処分したはいいものの、ほかの相続人から勝手に捨てたことを非難されることもあります。近所に住んでいるからと、ほかの親族に相談なしで遺品整理を始めてしまうと、高価な遺品を独り占めしたのではと勘ぐられるかもしれません。
何よりも、遺品や遺産の処遇は遺言の有無で変わってきます。遺品の処分や相続について、親族で話し合いを重ねて結論が出たとしても、遺言書が後からでてくればすべてひっくり返ります。
法的効力がある遺言書が見つかれば、そこに書いてある分配方法に従って相続や遺品の処分を行う必要があります。
また、最近では終活の一環として知られるようになったものに、エンディングノートがあります。遺言書のような法的効力はありませんが、故人の希望する遺品整理の方法が書き記されているかもしれません。すでに処分してしまった物が、「知人の誰それにもらってほしい」とエンディングノートに記してあっても後の祭りです。
故人の意志や希望をできる限り尊重したいのであれば、何をおいてもまず探すべきは遺言書とエンディングノートです。
相続人で遺品整理を行う日を決める
次は、遺品整理を行う日程を決めます。後からトラブルにならないように、できる限り相続人が一堂に会したときに、遺品整理をどうするか話し合いしましょう。
業者の手を借りない場合は、作業にそれなりの時間がかかります。スケジュールを決めるためにも、どのくらいの遺品があるか、事前に下見をすることをおすすめします。
理想から言えば、遺族全員で故人を懐かしみながら形見分けしていくのが望ましいでしょう。
しかし、昨今の核家族化や故人とのつながりの深さから、なかなか全員でというのは難しいのが現状です。その場合は、ほかの遺族の了解をとってから、相続人の代表者などで順次進めていくこととなります。
遺品の仕分け・形見分けを行う
具体的な作業の段階に入ったら、まず取りかかるのは遺品の仕分けです。
最初に、貴重品を探し出します。現金や預金通帳・印鑑・身分証明書・保険証のほか、家や土地にかかわる権利書・賃貸ならば契約書を見つけます。日用品の片づけをしている途中で出てくるだろうと後回しにするのは禁物です。物があふれている中で、誤って不用品と一緒に処分してしまう恐れがあるからです。真っ先に見つけておくと、後の作業が滞りなく運びます。
遺品の一部は、形見分けとして親族や故人と親交が深かった人に贈ることもあります。どんなものがふさわしいかは、受け取る側と故人の縁に左右されます。一般的には腕時計や万年筆などの実用品が選ばれることが多くなっています。趣味のコレクションも同好の士には喜ばれます。洋服や着物も個人の面影がしのばれます。
形見分けで注意したいのが、高価すぎるものを選ばないということ。あまりの高級品ともなれば相続財産として見なされないとも限りません。贈与税が絡んでくると厄介です。かなり高価なものであれば、ほかとの兼ね合いもでてきます。やっかみを受けないためにも、高価なものは選ばない方が無難です。
不用品の処分を行う
貴重品や形見分けの遺品をより分ければ、後に残るのは不用品です。通常の不用品ならば、お住まいの自治体の決まりに従って廃棄します。粗大ゴミも市町村に廃棄を依頼するか、専門の回収業者に引き取ってもらいましょう。
まだ使える家財や、価値のある収集品などはリサイクルやリユースにまわすことも考えられます。まとめて持っていってもらうよりも、レコードのような趣味の品ならそれを専門に扱っている中古販売店の方が価値をつけてくれます。
ただ、多少のお金にはなりますが、相当な手間がかかります。短期間で終わらせたいのならば、最初から遺品整理の専門業者に依頼するのがよいでしょう。買取も代行してもらえるところならば、遺品の処分費用自体も相殺されて安くなることもあります。
遺品整理業者などプロに任せた方が良い場合
可能ならば故人とかかわりの深い遺族が、遺品整理を行えれば望ましいです。ですが、長年住んでいた一軒家の家財は生半可な量ではありません。遠方ならばなおさら大変です。実際に取りかかってみると、途中で立ちいかなくなってしまうこともあります。
自分のことで遺族が辛い思いをするのは、故人の本意ではないでしょう。
私たちプロの遺品整理業者もそのために存在しています。自分たちの都合や体調と相談しながら、最善の道を探してください。