ハウスメーカー選びの決め手は営業マン選び!
住宅購入計画が始まると検討期間はアレコレ考えなければならない事や注意しなければならない事がたくさんあります。
住宅ローンの返済、住まいの場所、間取りをどうするか、注文住宅ならどのハウスメーカーを選ぶかも決めねばなりません。
そんな盛りだくさんの住宅購入の検討を進めていると、意表を突くタイミングで相談先のハウスメーカー営業マンから「そろそろ契約を…」しかも「今月中の契約でしたら…」と、期限を切って契約を急かす様にも聞こえる話を投げ掛けられ戸惑う経験を持つ方は多いものです。
確かにそのハウスメーカーは検討対象の会社ではあるけれども、予期しないタイミングでの契約打診は特に急ぐ理由も無ければ戸惑うのも無理はありません。
それが注文住宅であれば予算の話や土地の話の方向性が見え始め、ようやく間取りの話にたどり着いた早々のタイミングなんていうことであれば「なんでそんなに急かすの?」と不審にも思えてしまうでしょう。
また、今の話よりもう少しハウスメーカーとの打ち合わせが進行し、間取りをはじめとした計画案の提案も受けてからの期間は経過してるものの納得感が不十分で停滞気味なタイミングにこうした突然の契約打診を受けることもあるようです。
何しろ大事な住宅購入ですから、後々後悔しない様にと注意深く検討を進める最中、突然の契約話であれば仮に「急かすつもりはありません」と言われても契約を急かせれている様に感じるのは当然です。
ではハウスメーカーからのその様な働きかけを受けた時、どう振る舞うのが良いのでしょう。
きっぱり断れば良いのでしょうか?
それともある程度話を受け入れた方が得策なのでしょうか?
そんな場面の後悔を残さない為に注意すべき対応策について考えてみましょう。
ハウスメーカー営業マンが契約を急かす訳
まず、ハウスメーカーの営業マンは何故契約を急かす様な行動を取るのでしょうか?
本当に契約を急かす意図はないのでしょうか?
結論から申しますと契約を急かす意図満々です。
これだけでは当たり前すぎる話で終わってしまいますね。
でもよく考えれば「急かされた」と感じて注意深くならない人は少ないでしょう。
そこまでの期間に振りまいてきた好印象を全部帳消しにしかねないリスクを冒してまで、契約を急かす理由を知っておく事がこうした事態にどの様に応じるかを考える上で欠かせません。
ハウスメーカー側の意図を掘り下げてみる場合、先に例えた「間取り打ち合わせ即の契約打診」と「打ち合わせ停滞中の契約打診」では少々背景が異なります。
間取り打ち合わせ即の契約打診
注意してみていると相談先のハウスメーカーと打ち合わせを重ね、間取り図のプレゼンテーションを受けたあたりが契約をほのめかされる最初のアタックのタイミングによく選ばれます。
それこそ「ほのめかし」を切り口にする営業マンもいれば、ズバッと「契約してください!」しかも期限付きで、というケースも珍しくありません。
これの背景は何と言っても競合対策です。
彼らは皆さんを「恐らく他のハウスメーカーも検討しているだろう」と競合を注意警戒します。
仮にそのハウスメーカー1社しか話が進んでいなかったとしても、その先ライバルが現れない保証はありません。
それならば確実に競合相手を蹴落とすには「先手必勝」とばかりに先に契約を持ち掛け、他を出し抜いてしまうのが有効だという考え方が住宅業界には普遍的に且つ深く浸透しています。
どこの会社も他社のそうした動きで辛酸を嘗めさせられる経験を幾度となく重ねており、過度に注意深くこうした反応をしてしまうのです。
とはいっても流石にまだ住宅ローン返済の相談や、土地も決まらないタイミングでは、それこそ「急かす」以外の何物でもありません。
そこで間取りのプレゼンテーションあたりからであれば、概算ではあっても総費用も併せて示せるので契約条件の話も出来ると考え、フライング気味で少々急かしと取られても商談成立へのリスクが低い策をと、満を辞して契約打診に打って出るのです。
打ち合わせ停滞中の契約打診
勿論全ての商談において先程の様なタイミングで契約の打診がある訳ではありません。
明らかに無理な状況では見送られる場合もありますし、契約のほのめかし程度でそのタイミングを通過してしまう事もあります。
そうした場合に次によく起きる不意な契約打診のタイミングが、打ち合わせ期間が長引き停滞気味な場面です。
間取りも何度か描き直しても今ひとつしっくりこない、予算と見積もり金額が合わずに図面とにらめっこの打ち合わせが続いても、買い手には検討期間に期限はありませんから後悔しない様にと注意深く検討を進めます。
ところが売り手であるハウスメーカー側からすれば、「このお客さんは本当に自分達と契約してくれるのだろうか?」と契約意思に疑いを感じ始めます。
別な角度から見ますと提案が手詰まりの状態で、ハウスメーカー側がこれ以上評価が上がることは無いかもしれないと感じた時に、先程のケースと同様「このままでは他のハウスメーカーに行かれてしまうのでは?」という方向に注意力が働くのです。
結果として買い手の側からすると不意なタイミングで契約を切り出される事となり「何で急かす?」と、戸惑いを覚えるのはどちらのケースも一緒です。
ハウスメーカーの契約打診はどの様に?
それでは実際の場面で契約の打診はどの様にしてなされるのでしょうか?
更に細かな具体的タイミングと契約の切り出しトークを見てみましょう。
契約打診のタイミング
先程ハウスメーカーとの打ち合わせ進行段階に合わせた契約打診のタイミングを取り上げましたが、更に細かな具体的タイミングの傾向があるのです。
この話題にはハウスメーカーにおける「ノルマ」の存在が深く関わります。
ノルマとは住宅販売の営業成績に課される果たすべき水準であり、各ハウスメーカーのノルマの扱いは大部分の会社において決して緩くはありません。
またこうした営業ノルマは契約数と期限がセットになり課されます。
そうした場合に各営業マンに対するノルマは住宅販売の性質上、毎日、毎週契約が見込めるものではありませんので1ヶ月という期間が期限として設定され、期限内での契約ノルマ達成を課されるのが一般的です。
勿論その期限内に課せられた契約数を達成すれば宜しいのですが、そもそもそ到達すら難しい契約ノルマを課されている中、期間初頭での達成など中々覚束ないというのが実情です。
そうなりますと期限ギリギリまで粘り続ける営業マンが大勢を占め、俗に「締日」と呼ばれる期限に滑り込もうとします。
この期限である締日は多くのハウスメーカーが暦の各月末日に設定しており、「月末」が近づくにつれ契約への具体的アクションが盛んになっていくのは毎月恒例のこと。
そんな背景から、どの月であっても月中旬あたりのタイミングで前項で挙げた様な検討段階に差し掛かった見込み客に対し、契約を促すアクションを起こし”急かし”ていくのです。
契約条件は期限付き
それではこうしたタイミングにどの様な口上で契約を促すのでしょうか?
いくら急かすのが本意だとしても露骨に急かす様な切り出し方では上手く話が進みません。
単に「今月契約してください!」だけでは急かしが丸見えです。
そこで契約打診の為の大義名分が加えられます。
「今月契約して頂けたら特別値引きの決裁をもらってます」
「今月はキャンペーン月になってますので特別価格で契約頂けます」
「今月は決算月ですので来月よりも今月契約の方がお得です」
要するに期限内の契約なら価格をサービス出来るのでその方がお得であると言う条件が付随しており、決して急かしている訳では無いと言うロジックです。
また、その期限を超えた場合はこうしたサービスの適用は無くなると言う条件が加えられているのが通例です。
と言うことは先程の月中旬にこうした案内と共に契約打診を受けたとすると、月末の期限まで判断に与えられた期間はわずかしかありません。
しかも多くの場合、そのタイミングも突然です。
契約の打診だけで無く、契約締結までの期限がタイトであるところが「急かし」を感じる事になるのです。
後悔しない為にこんな所に注意
契約を促された後は皆さんの判断次第なのですが、少なくとも外形的に言えるのは毎月毎月「今月契約」の期限つき好条件が提示されているのは実態として垣間見えます。
契約を急かす事情からとは言え好条件に関心があれば前向きにとなるのでしょうが、迂闊に中途半端な状態で判断し後悔を残しては大変です。
このあたりの事情を心得ておけば少し冷静な判断が下せるのではないでしょうか。
また、重要な判断を伴う契約を急かされた事で気分を害してしまうことも起こりがちです。
もし、そのハウスメーカー自体は選択肢として高評価をしていたものの、こうした急かしへの不信感が原因で選択肢から外してしまった場合、少なくとも有力な候補をひとつ失う点ではマイナスでもあり、それはそれで後々後悔するかもしれません。
こうした事態に陥らないためには注意して予防策を講じておく事も大切です。
先程も触れました通りハウスメーカーの社内には契約ノルマがありますが、そのノルマの対象は必ずしも営業マン個人だけでは無く、支店、営業所、店舗、チームといった部門にも課されます。
つまり支店長、所長、店長といったその部門の責任者もノルマを達成しなければならず、先程の様なタイミングでの契約話の切り出しは、営業マン個人と言うよりは上長からの指示で成されるケースもよくあるものです。
寧ろ窓口となっている営業マンにとって唐突な契約話で急かすことで破談になるリスクを冒したくは無く、個人的にはやりたくないが上司の指示には逆らえないジレンマの中での葛藤を抱えながら火中の栗を拾う様な姿も珍しくはありません。
ここにポイントがあります。
担当営業マンとの打ち合わせが始まった初期段階から予め「私に急かす様な真似はしないでね」と言うサインを出しておくのです。
そうすれば営業マン心理としては敢えて破談になる様な行動はとりたくありません。
また、先程の様な指示が常態化している環境であれば社内的予防線を張る事にも考えが及び、予め上司に「急かしにはナーバス」なお客様だと予防線の報告も巡らしておく事もできるでしょう。
大抵の場合、そうしておけば無理に急かす様な契約話は慎むものです。
お互いに不毛なわだかまりの元は避けられるに越した事はありませんね。
お試しになってみてください。
但しそれでも敢えて突破を試みるハウスメーカーも中にはあるのですが、それはそれでどの様なスタンスで仕事に取り組んでいるのかを観察出来る機会としては意味があるのかもしれません。
お付き合いに相応しい相手かどうかが見極められるのですから。