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ハウスメーカー・工務店・設計事務所 違いや選び方は?どっちに相談?

2022年5月21日

テーマ:ハウスメーカー選び

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 注文住宅

新築注文住宅を計画する時にどこの住宅会社で建築したら良いか選び方に迷う方は多いはずです。
そうした場合、個々の住宅会社選び以前にハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いや特徴すらよく分からず、一体どっちを選べば良いか悩む事もあるでしょう。
自分の新築注文住宅のマイホーム計画に相応しいのはどこなのか?
果たしてどっちに相談するのが満足のいく家づくりにつながるのか?
ただでさえ分からない事だらけの新築計画です。
各住宅会社の違いや選び方が分からなければ悩んでしまうのも無理はありません。
イメージ的にハウスメーカーはテレビCMでも耳にした会社がありますが、工務店や設計事務所は普段余り馴染みが無いという方も多く、相談を持ちかける事自体に気後れしてしまう方もいるでしょう。
でも別な角度で家づくりの職人、専門家といったイメージにはどっちかと言えば工務店や設計事務所の方がハウスメーカーよりも近く感じるかもしれません。
結局どっちを選べば良いのでしょうか?
これらの違いが分からないまま選び方を間違ってしまい、せっかくの新築の住まいに後悔を残しては大変ですね。
今回はハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いはどこにあるのか?選び方の注意点は?相談するにはどっちが良いか?についてそれぞれの違いを整理して行きたいと思います。


・ハウスメーカー・工務店・設計事務所とは?

注文住宅相談
ハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いについて比較するにあたり、まず始めにハウスメーカー・工務店・設計事務所とはどの様な住宅会社を指すのかを明らかにしておいた方が宜しいでしょう。
それぞれの存在が不明瞭ではそれらの違いや選び方を論じてもボヤけた話になりかねません。
しかしながらこれが少々厄介な話になります。
必ずしもこれらの違いに明確な区分がある訳では無いからです。
会社名には一見するとこれらを見分ける手掛かりになりそうな「工務店」「事務所」「ハウス」といった名称がありますが、必ずしもこの名称で明確に分類できる訳ではありません。
会社名称に「工務店」と称する大手ハウスメーカーやスーパーゼネコンもありますし、「〇〇ハウス」「〇〇ホーム」としている住宅会社でも同様にハウスメーカー・工務店・設計事務所が入り交じっているのが現状であり名前だけではどっちがどっちだか分からなくなってしまいます。
皆さんのイメージとここでの話の前提に違いがあっては混乱してしまいますね。
従いまして、ここからは便宜上以下の様に定義付けした上でハウスメーカー・工務店・設計事務所を区分いたします。

ハウスメーカー

複数の都道府県にまたがる広域なエリアを事業域とする年間数百戸規模以上の住宅建築実績を持つ住宅会社。

工務店

ハウスメーカーと比較して事業規模は小さく、個人から数十人程度の従業者が従事している住宅会社。

設計事務所

自ら施工は行わず工事は施工専門の業者が行い、設計企画と施工管理を請負う住宅会社。

少々アバウトではありますが、今回はこの様な定義付けでハウスメーカー・工務店・設計事務所の違いと選び方について、各住宅会社のプラス面とマイナス面を比較しながら話を進めたいと思います。

・ハウスメーカーの違いと選び方

ハウスメーカー選び
地域の住宅総合展示場出店やテレビCM、新聞広告等での広報展開にも積極的な会社が多く、事業規模も大きいので名前はお馴染みの住宅会社も多いはずです。

ハウスメーカーのプラス面

ネームバリューがあるという事はそれ自体が安心感に結びつくかもしれません。
また、事業規模と共に会社組織も大きく、営業・設計・現場管理・経理・アフターサービスと専門職に分業される傾向が顕著で全般に業務のバランスが取れた会社が多いようです。
これによって多くの場合、住宅ローン手続き、契約書面、保証を含むアフターサービス等の業務マニュアルの充実度も高く、且つ明示されている為、住宅会社選び方の優先順位として安心を強く求める場合には、ここで挙げた点を工務店、設計事務所との違いとして捉える方も多く、意向にマッチした選択肢となり得るかもしれません。
また、複数の金融機関との提携や提案資料等のプレゼンテーションも家づくりのプロセスに合わせシステム化されているのも好材料であり、相談先に選んだ場合も一定レベルの情報入手は期待出来るでしょう。

ハウスメーカーのマイナス面

但しシステム化が進んでいる事はメリットばかりではありません。
間取りやデザインは予め設定されている設計マニュアルや指定部材のデリバリーの中で企画立案され、それに沿わないものへの対応に難色を示すハウスメーカーも多く見られます。
そもそも注文住宅には対応せず、間取り集から選ぶ企画型住宅のみを扱うハウスメーカーもあるので選び方を間違わない様に注意が必要です。
全般に柔軟性は希薄な会社が多いようです。
新築注文住宅と銘打たれていても時に陳腐化した個々の違いに乏しい量産型とも言えそうな住まいに落ち着いてしまい、周囲の新築住宅との違いを期待していた方には物足りなさを感じる事もあるでしょう。
また、多くのハウスメーカーでは決して軽くはない営業ノルマが課され、軽い相談のつもりが営業本位の激しいセールス攻勢に巻き込まれる事も珍しく有りません。
個々の営業マンについても相当な技量の違いがあり、選び方を誤ると相談対応にも十分期待通りに応じて貰えないだけではなく、前述のノルマの存在もあってか契約後に態度を豹変させる営業マンも少なくありません。
営業マンのアタリハズレは家づくり全体の成果にまで影響しますので、営業マン選びはある意味でハウスメーカーの選び方の重要な位置を占めると言えるでしょう。

・工務店の違いと選び方

工事
地域密着型の営業展開をする工務店が多く知名度は高いとは言えませんので、ハウスメーカーとは違いマイホーム計画が始まってから初めて耳にする工務店も多いはずであり、余り予備情報のない所からの相談開始となる流れが選び方の難しさになる場合もあるでしょう。
また、新築注文住宅からリフォーム工事まで幅広く請負う業者が多い事も特徴と言えますが、軸足が新築なのかリフォームなのかによって選び方に注意が必要です。

工務店のプラス面

小規模さ故に複数を兼務する建築知識に精通した社員が多く、ハウスメーカーと比較すると売り込みも全体としては穏やかな傾向にあり、こうした点は知名度は低いながらも気軽に相談をしやすい要素と言えるかもしれません。
マニュアルに沿った業務というよりは、個々にケースバイケースで応じるスタイルとも言え、間取りやデザインなどもハウスメーカーの対応とは違いいわゆる注文住宅の柔軟性を持ちます。
建築工事開始後も現場と会社の連携がスムーズで細かなリクエストへの対応にも同様に柔軟な傾向にあります。
また、直接の施工職人を抱えていれば下請けへ発注する余剰経費も削減され、この点も下請け業者への発注が一般的であるハウスメーカーとの違いと言え、選び方次第では同じ価格で内容の充実した新築マイホームが期待できる可能性があります。

工務店のマイナス面

建築知識に精通した人材が多いとはいうものの、最新技術への理解不足や施工面の知識と比較して設計、デザイン面のスキルが乏しい工務店が多く、本来の注文住宅に対応できる柔軟性が発揮されずにおしゃれ感の乏しい新築の家が出来上がってしまうケースも多くあります。
設計部門は他の設計士へ外注であったり、インテリアコーディネーターも従事していないなどする工務店も多く、注文住宅とは言いながらも設計打ち合わせは全般に淡白な傾向があります。
また、業務マニュアルが未整備な工務店も多く、打ち合わせの流れや細部説明の不備、不明瞭な見積り書式等が原因となり業者と建て主の間に認識の違いが生じたり、口約束、アフターサービスの扱いなどのトラブルの要因となり得る点には注意が必要です。
更に契約書面や保証の扱いについても過大に業者有利な内容に定められるなどしているケースも散見され、無料で相談に応じられる範囲も工務店ごとに違いがありますので、こうした点の確認も工務店の選び方として忘れない様にしておきたいポイントと言えるでしょう。
また、資金面の相談対応を不得手とする傾向にも注意が必要です。

・設計事務所の違いと選び方

設計
必ずしも新築一戸建てのみを対象としている訳では無く、大規模なビル建築までを対象としている設計事務所も少なくありませんので、どっちを得意としているのか?新築一戸建ての建築実績確認は欠かせません。
ハウスメーカー・工務店と比べて、他との違いをテーマとしたこだわりの新築注文住宅を望む方の支持が集まるのが設計事務所での家づくりと言えるでしょう。

設計事務所のプラス面

普通の家とは違いのある注文住宅ならではのこだわった新築の住まいを目指す方には、間取りやデザインの企画力においてハウスメーカーや工務店では満足出来ない事もあるでしょう。
そうした場合に設計事務所が売りにするのは斬新な企画力です。
間取りや、デザインの斬新さは勿論、建築部材の選び方においても対応力が発揮され、専門性の高い設計事務所であれば、ハウスメーカーや工務店とは違いのある新築注文住宅ならではの設計企画の提案が期待できます。
また、設計事務所の業務範囲は設計企画にとどまらず、通常新築工事が始まって以降の施工管理までを含む内容となっており、実際の工事に当たる施工業者を監督する立場としての位置付けとなる点も、安心材料として捉えられるでしょう。

設計事務所のマイナス面

デザイン性重視の設計コンセプトは時に機能性の犠牲の上に成り立つ場合もあります。
間取りやインテリア、外観デザインの奇抜さを求めた見返りに使い易さやメンテナンス性に課題が生じ新築完成後に後悔を残すケースも出てしまうのです。
注文住宅の特性を活かし周囲の住まいとの違いを前面に押し出す程、こうした住まいを目指す方々の支持を得ますが、オリジナリティーが高まる程に「初の試み」が多く採用される事となり、時にこだわりのマイホームが設計士の「実験場」になってしまう事も起こりがちです。
そもそも、請け負う一戸一戸の住まいを設計士自らの「作品」と称し、周囲の評価を得る為の足掛かりと捉える設計士も散見されると共に、自らのコンセプトと依頼主の相性が噛み合わない場合、ポテンシャルが急激に低下してしまう設計士も散見されます。
こうしたメンタルで家づくりに取り組まれた場合には先に触れたような後悔の遠因となり得ますので、どのような姿勢で家づくりに取り組むのかの確認は設計事務所の選び方の大切なチェックポイントと言えるでしょう。
加えて、設計企画面の専門性と比較し、資金面についての相談には細かな対応力を持たず、住宅ローンなどの相談事は施主自らが金融機関にあたらざるを得ない事も多分に覚悟が必要です。


・ハウスメーカー・工務店・設計事務所どっちを選ぶ?

ハウスメーカー、工務店、設計事務所の違いお分かりいただけたでしょうか。
一概にどっちが良いというものではなく、それぞれ一長一短の違いと特徴があります。
皆さんが注文住宅での新築に何を求めていくかに一番適した住宅会社の選び方が大切だということになるでしょう。
また、今回取り上げた事項はハウスメーカー、工務店、設計事務所の全般的な傾向としての特徴の違いをまとめましたが、勿論個々の住宅会社にスポットを当てれば必ずしも一致しない面もあるはずです。
こうした特徴を踏まえながら各社への相談を通じプラス面マイナス面を十分に観察し、後悔を残さぬよう間違いの無い選び方を心掛けたいものです。
選び方にご不安がある方はお気軽にご相談ください。

この記事を書いたプロ

栗山琢磨

満足が続く家づくりと家計設計相談のプロ

栗山琢磨(パートナーズライフプランニング)

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