新聞を読み解く【Part18】「ハンコ文化、在宅勤務の壁」
今回は前回からの続きで、「賃貸借継続中のルール」の第2点目で、「賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化」です。
これも事例をご紹介いたしますが、BさんはAさんに対して自分の所有する建物を貸していたが、その期間中にCさんにその建物を売却した。建物の新しい所有者になったCさんは、Aさんに賃料を請求したが、Aさんは賃料をBさんとCさんのどちらに支払えばいいのか分からないといって、支払ってくれないということですね。こういった問題も当然生じてくると思います。私が入居者でありました。で、以前のオーナーさんがBさんであったわけですね。で、Bさんはオーナーさんでしたが、Bさんからその借家を買ったCさんが私に対して、「私が新しい所有者だから、私に家賃を払ってください」と言うわけですが、私は本当にそれがCさんになったのか、調べる術がないわけです。本当にどちらに払っていいか分からないので、困っている状況がございました。
これが改正民法で、賃貸借の対抗要件を備えていた場合に、賃借物である不動産が譲渡された時は、賃貸人としての地位は原則として不動産の譲受人に、新しい所有者に移転するという規定を設けました。これは譲り受けたCさんは、その建物の所有権の移転登記を受けなさいと、その所有権移転登記が対抗要件になるので、その登記が出せない間は、入居者は前のオーナーさんに家賃を払ってもいいですし、もしくはどちらに払っていいか分からない場合は、これは「家賃供託」といって、法務局に供託、家賃を法務局に預かっていただけば、Cさんに対して、もし新しい所有者がCさんであっても、家賃滞納の責めは付さないことになりますので、新しく物件を購入したCさんも必ず所有権移転登記をすると、その購入された前のオーナーさんから、所有権移転登記を受けないと、私が所有者であるので私に家賃を払ってくださいとは言えないということが、明文化されました。
これは当然今までも慣例はありましたが、昔の慣例もちゃんと法律で明文化しなさいということで、今回民法の改正が行われました。