お盆に帰省した家族と一緒に考えたい、実家の相続登記と名義の確認

菅野勝

菅野勝

テーマ:遺言書作成、相続手続きに関する話題

お盆に増える「実家の相続」相談

お盆で実家に帰省し、久しぶりに顔をそろえた家族と、亡くなったご両親が遺した不動産の話になった。そんな経験をお持ちの方は少なくないと思います。

実家の名義が今誰になっているか、はっきり説明できる方は意外と多くありません。相続登記の義務化が始まってから、この「名義の確認」は以前よりも重い意味を持つようになっています。

私は行政書士になる前に、ハウスメーカーの営業として31年間、170棟を超える住まいづくりや資産形成に携わってきた経験もあり、不動産の名義や相続の話は、暮らしと切り離せない身近な問題だと感じてきました。

仕事柄、お盆や年末年始のあとは、実家の名義や相続について確認しておきたいというご相談が増える時期でもあります。

ふだん離れて暮らす家族が顔をそろえるこの機会に、実家の今後について話し合っておくことには大きな意味がありますので、今回は、相続登記の義務化について、この時期だからこそ確認しておきたいことをお伝えします。

家族

相続登記の義務化、影響を受けるのはどんな方か

相続登記の義務化は、これから発生する相続だけでなく、2024年4月1日より前に発生した相続も対象になります。何年も前に親を亡くし、実家をそのまま相続した方も、名義変更が済んでいなければ義務化の対象です。

特に注意が必要なのは、実家に住み続けているために名義変更の必要性を感じてこなかった方や、遠方に住んでいて実家の管理を後回しにしてきた方です。相続した不動産が複数の市町村にまたがっていたり、田畑や山林が含まれていたりして、一部しか名義変更をしていないというご相談もこれまでにありました。

相続業務のご相談を受ける中で、名義の確認から始まるケースを数多く見てきましたが、ご本人が特に問題ないと思っていても、実際に登記事項証明書を取得してみると、祖父母の代の名義のままだったというケースも珍しくありません。



ご自身だけでなく、ご両親やご祖父母の代からの相続が整理されないまま残っている場合もあるため、お盆に帰省したタイミングで、実家の名義がどうなっているか、家族で一度確認しておくことをおすすめします。

名義の確認は、登記事項証明書を法務局で取得すれば誰でも行える手続きですので、まずは現状を知ることから始めていただければと思います。

期限と過料、知っておきたい注意点

相続登記の義務化では、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記の申請をしなければならないと定められています。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

2024年4月1日より前に発生した相続についても義務化の対象となっており、2027年3月31日までに手続きを行う必要があります。

相続人が多く、遺産分割の話し合いがまとまらないために、期限内にすぐ登記ができないケースもありますが、そうした場合は、相続人申告登記という制度を利用することで、ひとまず義務を果たしたものと認められます。

介護

これは、自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで済む簡易な手続きで、遺産分割協議がまとまるまでの一時的な対応として用意された制度です。期限が迫ってから慌てて動くよりも、こうした制度の存在も含めて早めに状況を把握し、必要な準備を進めておくことが安心につながると考えています。

期限までまだ時間があると感じる方も多いと思いますが、戸籍の収集や相続人の確認には想像以上に時間がかかることが少なくありませんので、注意が必要です。

相続の相談でよく見る失敗

相続のご相談を受けていると、後回しにしたことが原因で状況が複雑になってしまった例を目にします。

ひとつは、実家に住んでいるために名義変更をしなかった例です。日々の暮らしに困っていないため手続きを先延ばしにしがちですが、将来売却や解体を考えたとき、あるいは介護施設への入居費用を捻出するために実家を活用したいと考えたときに手続きが進められず、慌てて相続の準備を始めることになります。

もうひとつは、相続登記を放置している間に相続人の一人が亡くなり、次の相続が発生してしまった例です。当初は兄弟3人だった相続人が、甥や姪を含めて10人以上に増え、疎遠になっていた親族との連絡や同意の取り付けに時間と労力がかかったご相談もありました。

家系図

相続人の人数が増えるほど、一人ひとりの事情や考え方も異なるため、話し合いがまとまりにくくなります。遠方に住んでいる相続人や、面識の薄い甥や姪への連絡には、思いのほか時間がかかることもあります。相続は時間が経つほど関係者が増え、話し合いが難しくなる傾向があると、日々の相談業務を通じて感じています。

早めに動くことのメリット

相続登記の問題は、放置するほど手続きが複雑になっていきます。2024年4月以前の相続についても義務化の対象となっており、多くの場合は2027年3月31日が重要な期限となります。まずは、不動産の名義が誰になっているか、相続登記が済んでいるか、相続人全員を把握できているかを確認してみてください。

戸籍の収集や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の代理申請といった相続手続の準備段階は、行政書士としてサポートできる範囲です。これまでに相続業務のご相談を76件、遺言書作成のご相談を39件お受けしてきましたが、早めに状況を整理された方ほど、いざというときに落ち着いて対応できているという印象を持っています。

ご両親がご存命のうちであれば、将来の判断能力の低下に備える家族信託や任意後見といった選択肢もあり、相続登記の準備と合わせて検討しておくと、より安心につながります。

相続が発生してから慌てて動くのではなく、元気なうちから少しずつ準備を進めておくことが、結果として家族の負担を軽くすることにつながると感じています。

今すぐできる4つの対策

今すぐできる対策として、まず実家や相続した土地・建物について、現在の名義人が誰になっているかを確認してみてください。

それには、固定資産税の納税通知書や登記事項証明書を取得し、被相続人名義のままになっていないかを確認する方法があります。固定資産税を払っていることと名義変更が済んでいることは別の話ですので、ここは注意が必要です。

次に、配偶者や子ども、代襲相続人を含めて誰が相続人になるのかを整理し、連絡先を確認しておきましょう。

さらに、相続手続では戸籍の収集に時間がかかることが多いため、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、住民票、固定資産評価証明書といった書類の収集も早めに始めておくと安心です。

クローバー

最後に、実家を誰が引き継ぐのか、売却する予定はあるのか、空き家として管理するのか、お盆や年末年始など親族が集まる機会に方向性だけでも話し合っておくと、その後の手続きがスムーズになります。

一つひとつは難しいことではありませんが、平日は仕事や家事で忙しく、なかなか着手できないという声もよく聞きます。家族だけで進めるのが不安な場合は、準備段階から専門家に相談することもひとつの方法です。

まとめ

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続も対象に含まれる点で、多くの方に関わる制度です。お盆で家族が集まるこの機会に、実家の名義や相続人の状況を確認していただければと思います。

・実家や相続した不動産の名義が誰になっているか分からない方
・相続人が誰になるのか、家族関係が複雑で整理できていない方
・相続登記の義務化への対応について、何から始めればよいか分からない方

お問い合わせは、まさる行政書士事務所のホームページ(https://masarukanno.com/)よりお願いいたします。

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菅野勝
専門家

菅野勝(行政書士)

まさる行政書士事務所

注文住宅の営業担当として31年間170棟の住まいづくりに携わって来ました。その豊富な経験、顧客対応力を生かし遺言相続、成年後見、外国人サポートを中心に相談者の暮らしに寄り添ったサポートを行います。

菅野勝プロは河北新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

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