韓国と米国の入試制度~日本はどこへゆく?
11月1日の京都新聞1面に、政府の教育再生実行会議が提言した大学入試改革の内容が掲載されました。これまで紹介してきた内容にだいたい沿ったものでしたが、その骨子は次の4点です。(各骨子にコメントをつけました)
①高校在学中に複数回受験できる達成度テスト(基礎レベル)を創設。
→高校生の学習意欲を高める動機付けを期待すると同時に、推薦・AO入試において成績を利用可能に。 おそらく、高校生の学力としてこれだけはできていて欲しいという、最低限の保証を目指すものだと思う。
②センター試験に替え、達成度テスト(発展レベル)を導入。結果は1点刻みの選抜から脱却できるように工夫して段階別に示し、複数回受験を検討。
→1点刻みの点数表示を得点ゾーンによる段階別表示に。センター試験をやめるのであれば、記述式問題を一部導入するなどの工夫をして欲しい。複数回受験自体にあまり意義を認めないが、高2生でも受験できるようにするならば、一定の意義はあると思う。
③各大学の入試は、学力判定とともに面接や論文など多様な方法で選抜。
→グローバル化の時代、世界の大学と競争して日本の大学のレベルを保つには、テストで高得点をとれる学生だけではなくて、多様な才能を持つ学生を集めなければならないという趣旨だと思うが、同じ11月1日の京都新聞3面には、「人物重視に課題山積」として、理想通りの運用は現実的に難しいのではないかと示唆する記事が掲載された。
④大学は厳格な成績評価・卒業認定をし、学生の学習時間を増加させる。
今回の提言は今後の大学入試のあるべき姿としての方向を示したもので、記事にもありましたが、具体的な方策はすべてこれからという様子です。現在、指導要領が改訂されたばかりでもあるので、導入は早くて次の指導要領改訂期に合わせる形で5年以上先となると思います。また、新テストの教科・科目、実施時期、テストの形式などの詳細を決め、告知する期間も含めるとどんなに急いでも5年程度は先の話にはなりそうです。
共通一次に替わりセンター試験が初めて導入された際は、十分に告知期間をとり、試行テストも実施されました。今後も議論の行方をしっかりフォローしていき、「新テスト」導入時には万全の態勢で受験生の指導にあたっていきたいと思います。