韓国と米国の入試制度~日本はどこへゆく?
10月22日の京都新聞朝刊に、『大学入試改革 新テスト基礎と発展に 「達成度」に名称統一』という記事が掲載されました。
それまでにも、10月11日の朝日新聞では、大学入試の新テストと高校での基礎学力テストの2つの新しいテストを導入するという記事がでていましたが、さらに輪郭が明らかになってきました。
現行の大学入試センター試験は廃止することはどうやら確実のようで、そのかわりというか、後を継ぐ形で新テストが導入され、これを「達成度テスト(発展)」とするようです。そして、新たに「達成度テスト(基礎)」がつくられ、こちらは、入試には直接関係しませんが、高校学習内容の定着を図るために実施され、推薦入試やAO入試で学力テストを課さない大学が選考の参考資料として利用できるようにする、ということです。現行の高卒認定試験(旧大検)は、「達成度テスト(基礎)」に吸収して一本化するのが合理的でかつ効率的であるし、おそらくはそうなるのではないかと思います。
京都新聞の記事にもあるように、基礎と発展の区分けはあいまいで、具体的な難易度設定はこれから決まっていくのだと思いますが、私は、「達成度テスト(発展)」は大学入試センター試験より若干難易度が上がるのではないか、と考えています。大学入試センター試験の平均点は6割台ですが、これが5割台程度になるように難易度が設定されるのではないでしょうか。一部報道でもあるように、二次試験では人物本位の選考を行い、面接や論文を重視するように大学側に求めていくということですから、志願者の学力を担保するという意味でも、「達成度テスト(発展)」は大学入試センター試験より難しくせざるを得ないと思います。また、成績評価も、1点刻みの点数ではなくて、一定幅の段階評価とするとのことですから、これも難易度が上がる一因になりそうです。
一方、「達成度テスト(基礎)」は、現行の高卒認定試験程度の基礎的なレベルになるのではないかと思います。とにかく、高校を卒業するなら、最低これだけは出来ていて欲しい・・・という最低レベルの問題が中心となるのではないでしょうか。
これらの「達成度テスト」が導入されるのは、現在学習指導要領も変わったばかりですから、はやくても5年先ということですので、まだまだ最終的な実施形態はどうなるかわかりません。しかし、現行の大学入試制度が大きく変わるわけですので、政府の教育再生実行会議の議論を注意深く見守っていきたいと思います。