「到達度テスト」はセンター試験と共存すべき(3)
ところで、「到達度テスト」は、“高校生が勉強する動機付けになる”という声もあるようです。
たとえば、漢字検定や英語検定、数学検定は高校生にもだいぶん浸透しており、これらの検定試験を受検し、合格することが、受検級の対策勉強のモチベーションになっていることは確かです。多くの高校生がこのような検定を積極的に受検することはたいへん望ましいことであることは言うまでもありません。
「到達度テスト」も年に数回実施され、例えば、「数学I」が1級(難問)・2級(応用)・3級(標準)・4級(基礎)といったように、各科目が難易度別に分類されていれば、高校生の勉強する動機付けになるのは間違いないと思います。指導においても、今回は4級に合格できたから、次は3級を目指そう!というように目標が立てやすいという利点があります。ただし、この方式は、科目ごとに1級~4級という難易度別のテストを用意しなければならなく、現実的には実施は難しいでしょう。
しかも、「到達度テスト」は“「高校生として身につけるべき基礎的な知識、理解力」を測る内容にする”という趣旨からして、基礎レベルのテストのみにならざるを得ません。そこで、テストは科目ごとに、基礎レベルのテストを1種類実施し、点数によるゾーン到達度評価という形になるのだろうと思います。現在、進研模試の総合学力テストがそのような評価をつけています。トップレベルがS1で点数に応じてS2、S3、A1、A2、…というような、ある一定のゾーンに分けて、あなたの今回の成績はA1レベルです、などとやっています。総合学力テストではゾーンを細かく分けていますが、「到達度テスト」では、これをS-A-B-C-Dなどと5段階程度に分けてわかりやすく評価するというかたちで実施するとよいと思います。
「到達度テスト」においても、各種検定と同様に、到達度がわかりやすく表示され、何度もチャレンジできるような形で実施されることを願います。そうすれば、高校生たちの勉強の動機付けとして、一定の貢献ができると思います。
記事に、“「枠組みとして到達度テスト一本では不十分」という意見も根強い。より高い学力の学生を求めている大学にとっては、選抜材料として利用価値が低いという意見だ。このため、発展的な内容の試験も用意し、各大学が選べるようにする案も有力になっている。現在の大学入試センター試験については、委員に廃止論は出ていないという。”とあります。
基礎的な内容を問う「到達度テスト」のみでは不十分なのは当然でしょう。また、現在の大学入試センター試験はたいへんよくできた試験で、これは是非存続させるべきです。
~その(3)につづく~