在りし日の小次郎
講談社現代新書。山本昌仁。
たねやの代表取締役である筆者が、どのようなことを考えて商いをしているのか、なぜそうするのか、そしてなぜ経営が成功しているのかについて書いた一冊。
いわゆる近江商人の「三方よし」の哲学を地でいく経営である。
今だけ金だけ自分だけの精神がはびこる現代資本主義社会で、こうした考えで経営をしている企業が多数生まれて、倫理観のある資本主義社会であればと願う。
今だけ金だけ自分だけの考えで政権にすりより、政権もそれをよしとして、そうした企業が儲かる仕組みを政治的に作り出し、国民を無視した政治のあり方にも警鐘を鳴らしているとまで見るのは読み込みすぎであろうか。
誰も求めていないマイナンバーカードをなぜここまで自民党は強引に推し進めるのか、国益を損なう法律を次々に作るのか。
そこには、近江商人の哲学は微塵もない。
弁護士でも、金だけ今だけ自分だけの精神で依頼を受けている者は一定割合いるように思える。
大事なことを考えさせられる一冊。
お勧めである。