在りし日の小次郎
個人再生の申立がなされた場合、個人再生委員がつくことがある。
民事再生法の条文を一部引用しておくと以下のような場合につけられる。
(個人再生委員)
第二百二十三条 裁判所は、第二百二十一条第二項の申述があった場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、一人又は数人の個人再生委員を選任することができる。ただし、第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価の申立てがあったときは、当該申立てを不適法として却下する場合を除き、個人再生委員の選任をしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、個人再生委員の職務として、次に掲げる事項の一又は二以上を指定するものとする。
一 再生債務者の財産及び収入の状況を調査すること。
二 第二百二十七条第一項本文に規定する再生債権の評価に関し裁判所を補助すること。
三 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をすること。
申立がされて選任される場合は見たことがなく、裁判所の職権によるものである。
地域によっては全件個人再生委員がつくそうだが、京都の場合は全件ではない。
きちんと申立代理人が仕事をしていれば個人再生委員が選任されることはないはずだと思うのだが(少なくとも私の事務所の申立で選任されたことはない。)、裁判所が補正を指示しても申立人がこれを守らないとか、申立の内容がどうもおかしいから調査してもらいたいと考えられた場合に選任される。
私はたまに裁判所から命ぜられて選任されることがある。
記録を読むと、申立代理人の方で自ら補正できそうな問題点も多数あることが多い。
申立代理人に全く問題意識のないこともある。
結局、条文に記載したようなことを職務として行うこととなるのだが、私としては、再生が認可される方向での助言をしているつもりで、申立代理人の方に指示を出すと、対応ができないと思うのか、突然申立が取り下げられることが稀にある。
破産に切り替えるのか、個々の債権者と個別に合意する債務整理に切り替えられるのかは分からないが、その後こうした申立代理人は事件をどうしているのであろうと思っている。
京都では、個人再生委員をつけられないような申立をすることが重要であり、破産や個人再生も細部にわたって弁護士がチェックしていくべきであろう。