在りし日の小次郎
自保ジャーナル2068号37頁に、私が担当した事件が掲載されている。
事案は飲酒運転で駐車場から飛び出した際に被害者を死亡させたというものであり、いわゆるアメリカ村暴走事故として社会の耳目を集めた事件の一審判決である。
ただ、自保ジャーナルでは慰謝料額が高額な事例として掲載されているのだが、この事件の本質は損害論ももとより、「事故がなぜ発生したか」というところにある。
刑事事件では、アクセルとブレーキの踏み間違えが事故の原因であり、それは飲酒をしておらずとも起こりうることであるから飲酒の影響はないとされた。
民事訴訟では、記録に基づいて事故の発生原因が踏み間違えによるものではなく、飲酒の影響によることを詳細に指摘し、飲酒の影響による事故であることが認定された。この点がこの事件の肝であり、裁判所も記録を相当読み込んでいただいた結果であると考えている。
刑事と民事で判断が分かれた事例と紹介するのが最も正しいことは、判決文を精査すれば分かっていただけると思う。
以上です。