寒波到来
先日ある席で中堅弁護士と話しをしていたら、ボス弁が尋問が好きで、普段全く記録も見ていない事件の尋問にだけ来るという話しを聞いた。
私のボスはそんなことはしなかったので(事件を任せたら口は出さないし、裁判にも来なかった)、「尋問に来て、ボスは尋問するのか」と聞くと、「好きで来ているので尋問するんです」とのことであった。
さすがに尋問前に記録は読んでいるのであろうが、特に反対尋問では、「敢えてここは聞かない」とか、「ここはここまでで止めておく」ということを代理人としては考えるので、そこをボスが聞いてしまって失敗するというようなことはないのかと聞くと、「それはあります。。。」ということであった。
かなんボス弁である。
裁判官と話しをしていると、「弁護士さんは反対尋問で、なぜ突っ込むべきところを聞かないのか」と言われることがあり、そこを裁判官が補充尋問で聞いたりすることがあるが、代理人の立場からすると、「何が出てくるか分からない」ような質問は中々聞くことができないのである。
裁判官は判決を書くので気になった点は全て聞くことができるし、割合裁判所から聞かれると当事者はすっと本当のことを言ったりするので、立場の違いを理解してもらいたいという話しをしたりしている。
私自身は勤務弁護士の主任事件であっても、尋問に同席することはある(同席して欲しいと言われることもある。)その場合、記録は読んだ上、事前に協議もして尋問に同席している。さすがに、勤務弁護士の尋問を取り上げてまで聞くことはなく、あくまで補充で聞くのだが、一度だけ、あまりにも被告が好き勝手いうので、珍しく頭にきて、勤務弁護士に了解を取り、先にほとんど聞かせてもらったことがあった。私よりも怒ったのが裁判官で、裁判所の補充尋問の方がどんどん突っ込んで聞いていたことがあった(これも私が途中でとどめた質問を裁判所がさらに掘り下げたのである)。
これは和解ができず、判決となり、判例時報にその後掲載されたが、私は判決文は送っていないし、敗訴した被告側が送るわけもないので、裁判官もよほど頭にきていたのであろう。
私が懇意にしていた亡くなった弁護士は、普段全く関与していなかった事件で尋問にだけきて尋問をすることがあったそうで、勤務弁護士やパートナー弁護士からすると困ったようだが、ポイントが的確で、いい尋問をするため、「来るな」とも言えなかったそうである。