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コラム

先輩弁護士から聞いた失敗談

2019年4月17日

コラムカテゴリ:法律関連

 その先輩の失敗ではないのだが、先輩弁護士と宴席で一緒になると、色々と聞ける。
 失敗談で、その頃知識がなかったので「これは気をつけないといけないな」と思ったものは、

1、競売や差押を止めても、それを執行裁判所に出さないと意味がない。
  競売を止めたものの、執行裁判所の係に出さずに落札されてしまったという例があったらしい。

2、交通事故の被害者の請求で、平均余命を計算する際、平均寿命から亡くなった時点の年齢を単に引いていた。
  0歳で亡くなる人もあるので、その年齢の人が後どの程度生きるかが平均余命なので、平均寿命とは違う。

3、交通事故の被害者の請求で、高齢者の場合、年金を逸失利益として計算し忘れて和解。
  多分間違いに気づいていないのだろうということであった。

4、交通事故の死亡事案で、自賠責を回収したが、元本から充当。
  年数がある程度経過していると、被害者の死亡事案だと遅延損害金がある程度ついているので、損害金から充当しないといけない。
  最近どこかで読んだ講演録でも、「元本充当したら、弁護過誤だ」と言われていたものがあったように思う。

5、これは割といたのでびっくりしたのだが(これは私が交通事故で講演した時の話)、事務所に後遺障害認定必携がない。
  どうやって後遺症の有無を判断するのかというところである。

  その他もろもろあるが、中には書籍にもあんまり書いていないこともあるし、本が間違っていることもあるので(※)、書籍は複数調べた上で、自分なりの考えをもって先輩弁護士に聞ける体制というのはやはり必用だと思うのである。

  ※ 前にも書いたかと思うが、保全の供託金に対して抗告ができるかという論点があり、最初読んだ本には抗告はできないと書いてあったのだが、供託金も裁判所がする決定の一部であろうと考え調べたら、他の本では抗告ができると書いてあった。抗告をして、供託金が3分の1程度に減額されたことがあった。

この記事を書いたプロ

中隆志

被害者救済に取り組む法律のプロ

中隆志(中隆志法律事務所)

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