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青春出版社。武田知弘。
信長と他の戦国大名の強さを分けたのは経済力であるという観点から、武田家の経済力の脆弱さや(遠征するのに武田家の家臣にお金がなく、貸付を受けていることや、税が高く逃亡する農民が割合いたことなどの史料は確かに別の本でも読んだ)、信長の経済力が群を抜いていたことから、桶狭間に勝てたと考えられること、桶狭間が経済的にどういう意味を有していたかを整理した新書。
戦国時代も遠征費は通常自弁であったから、お金が足りず借りていたという話は史料にもよく出てくる。大阪の陣の際に、家康が金がないため遠征ができないという家臣を「日頃何の為に俸禄を出しているのか」と叱った逸話などもある。
なお、この本にはないが、家康も金をため込んでおり、確か秀次事件に連座されられそうになった細川忠興が家康から金を借りた時、浜松城が築城された時のお金で、将来を見据えていざという時のためにお金を置いていた家康に感嘆したという史実もあった記憶である(多少怪しい記憶だが)。
新書でなく、この観点から分厚い史料に基づいた本を書いてもらいたいと感じた一冊である。