3年経っても請求の趣旨が特定されない・・・

中隆志

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 かなり昔のことだが、弁論で座っていると、前の事件でひととおり書面のやりとりが終わった時に期日の調整が入るのかと思って待っていると、おもむろに裁判官が、「あの~。前の期日もその前の期日でも申し上げたのですが、そろそろ請求の趣旨(この裁判でどういう請求をするのか)を特定していただかないと・・・」と話しだした。
 事件番号が法廷では読み上げられるので、その時点で既に提訴してから3年が経過している事件であった。
 そうしたところ、原告代理人はぱっと立ち上がり、早口で何を言っているのか事件の中身が分からないのでより分からなかったのだが、滔々ととそこについて話をし出したのである。
 当時は今よりも一般事件が多かったので、10時に4件程度裁判が入っていて、傍聴席では次の事件を待つ弁護士が複数いたので、裁判官は「原告代理人、わかりましたので、次回期日には必ず書面を出してください」ということになった。
 そして裁判官は、時計を気にしつつ、「あと、原告代理人、これも前から申し上げているのですが、本件では除斥期間が問題となっているので、その点についての見解を明らかにしてもらわないと・・・」と話し出した。
 除斥期間ということだと、不法行為だと20年前の話である。えらい話になってきたと思っていると、原告代理人は立ち上がり、再び早口で何を言っているのか分からないが、滔々と話出したのである。
 裁判官は、次に他の事件も入っているので、再び、「では、次回期日では書面で整理してください」という話で終了となった。
 この間、被告代理人はずっとうなだれたままであった。

 たまたま私の裁判の次回期日も上記の事件と同一の期日になり、法廷に行ったところ、前の期日と全く同じやりとりが繰り返された・・・。
 その間、被告代理人は一言も発せず、ずっとうなだれたままであったのも同じであった。

 私の事件が終わり、外に出たところ、当該原告代理人がスーツの上着を肩から後ろにかけて立っていて、私の事件の名称を見て、「中くん、ややこしそうな事件やなあ」と言ってきた。
 いやいや、アンタの方がややこしいやないかい・・・と思いながら、請求の趣旨が特定されていない点と、除斥期間の点を指摘したところ、その弁護士は、「この事件和解で終われる事件なんや。裁判官は分かってない」ということであった。

 半年ほどして、たまたまその弁護士と話をして「そういえば、あの事件どうなりました」と聞くと、「和解した」ということであった。
 被告代理人はうなだれていたので、原告代理人につき合うのに疲れたのかもしれない。
 こういう弁護士もいるということである。
 
 聞いたところでは、通常は1回結審するはずの手形訴訟で2年間事件を続けたという過去もあるということであり、弁護士も様々である。
 マネをしようとは全く思わないが。。。。

 以上です。

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