年末年始読書日記その1

中隆志

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「真田幸村 大阪の陣秘録」洋泉社。津本陽。
 私の敬愛する作家である津本陽氏が書いた大阪の陣。小説仕立てというよりは、史料から分かる幸村の動きや津本陽氏がどう考えるかというようなことが書かれている。
 この間、幸村について書かれた本でもっともよかったのは、平山優氏の書いた真田信繁であるが、津本陽氏の書く大阪の陣は迫力がある。歴史好き、真田好きなら是非読むべきである。

「わたしに会うまでの1600キロ」静山社。シェリル・ストレイド。
 オバマ大統領も書店で購入したという触れ込みだったので購入して読了。
 母親を若くして亡くしてしまった筆者はドラッグやセックスに溺れる日々から立ち直るために、1600キロを踏破する旅に出る。その中で彼女が何を考え、何を得て、再生するまでの物語。
 触れ込みと違い、そこまで感動しなかったのは、私の感性の鈍さかもしれない。

「天正壬午の乱 本能寺の変と東国戦国史」戒光祥出版。平山優。
 本能寺の変の後に起こった天正壬午の乱がどのような推移で移行したのかを史料に基づいて細かく検証した秀逸な作品。
 一般的には、信長の死後家康が易々と信濃と甲斐を占領したように思われているが、家康が信濃と甲斐を占領するのに相当な苦労をしていたことがわかる。
 また、この天正壬午の乱の火種が残っており、それによって秀吉が北条氏を滅ぼす原因となったということで、戦国史におけるこの乱の位置づけを述べている点で、これまた歴史好きであれば読まざるを得ない作品である。

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