尋問

中隆志

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 証人尋問をするとき、事前にどの程度尋問をするかという時間を決める。
 証人によっては、聞かれたこと以外のことも答えてしまって、この時間が守られないことがある。弁護士の方は証人が普通に答えてくれれば間に合う程度の時間に少し余裕を持たせているのだが、それでもオーバーしてしまうことがある。
 これが数分程度ならたいていの裁判官は大目に見てくれるが、相当オーバーすると、たいてい制限される。
 ただ、裁判官の中には、1分でもオーバーしようものなら、それ以上絶対に聞かせないという人もいる。
 私は先週二回証人尋問があったのだが、私の尋問は少し長くなってしまった。これは、私の責任ではなく、やはり証人側が聞かれた以外のことを答えてしまったからである。
 一件では相手方代理人が反対尋問を40分以上オーバーしてしまったがために、予定していた尋問が次に伸びてしまった。
 尋問時間が延びる理由はいくつかあるが、多いのは、
 主尋問で聞かれていることを反対尋問で重ねて確認を何度もする。
 主尋問で聞かれているのに、相手方代理人が聞いていないのか、もう一度同じことを聞く。
 相手方代理人が自分で言わせたい答えが出るまでしつこく聞く。これは最終的には議論にわたってしまい、たいていは裁判官から止められる。
 代理人が意見を押しつけようとしてかみあわない。「おかしいでしょう。おかしくないですか」というもっともしてはいけないといわれる尋問をする人もいる。
 証人が尋問のルールを説明しているが、日常では聞かれたことだけ答えるということはないので、ついその周辺部分も説明してしまい長くなる。
 全く今まで出ていなかった話が主尋問で出てきて、主尋問をしている弁護士がうろたえる。
 反対尋問も、主尋問で全く今まで訴訟上出ていなかった話が初めて出てきたので、着飾るを得ない。

 というようなものだろうか。
 もちろん準備不足ということもあり得る。

 裁判官は、補充尋問で、ズバッと聞くことが出来るのだが、我々代理人が聞く場合には、やぶ蛇になってはいけないので、どこまでつっこむかを常に考えさせるられるというところもある。
 尋問はうまくいくときと行かないときがあるが、事案にもよることもある。負け筋の事件の尋問はうまく行かないし、勝ち筋の事件は当然うまくいく。
 微妙な事件で尋問で相手方を突き崩して、いい和解案などが出たときは大変うれしいものであるが、そうそううまくはいかない。

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