在りし日の小次郎
裁判記録のうち、証拠書類に自分が分かるように書き込みをすることがある。
証人尋問で示す際には、書き込みがある場合には、「私がラインマーカーで塗ってしまっていますが」とか、「ちょっと書き込みをしていますが」ということでこのような場合、注を述べて示すようにしている。
また、書き込みがあまりに多くなるようなら、コピーをとってそちらに書き込む。あるいは、示す際には原本を示す。相手方の書証であれば、相手から原本を借りたりする。
先日尋問をしていると、相手の示している書証に、かなり赤字で書き込みがあるのが見えた。私の方が立ち上がり、その書き込みに問題がないか確認しようと席を立った途端に、相手方代理人はその書証を閉じて机の上に戻してしまった。態度がやや慌てて見えたことも事実である。
まさか証言している本人にカンニングをさせていた訳ではないだろうが、なんとなく釈然としない態度であった。
李下に冠を正さずという言葉もあり、不公正に見えるような態度を取ってほしくないものである。