読書日記「百年の孤独」
一度だけ尋問に本人が来なかったことがある。自分の依頼者であるのに来ないのである。打ち合わせも十分に重ねたにもかかわらずである。日を間違えていた訳でもなく。
このときの焦燥感は中々筆には表せない。連絡をしても居場所もわからない状態で、相手方と裁判所に謝って次の尋問期日を入れ、その次の時は来たのであるが、相手の弁護士からは前回来なかった理由も尋問で聞かれるし、裁判官からもねちねちやられるしで、勝つはずの事件が負けてしまった。印象最悪である。
依頼会社の証人が来なかったこともある。遠方の証人であったためFAXと電話で打ち合わせをし、当日早い目に裁判所で再度打ち合わせを入れることとして、尋問期日がその後決まったので会社の法務部を通じて日取りを連絡するよう伝えていたのだが、来ていない。会社に連絡をすると、「すいません。日を伝えるのを忘れていました」とのことである。このときも謝罪して帰ってきた。私がそのときにいたのは鹿児島の川内という支部であったのに。
逆に、絶対来ないであろうという証人を呼び出す時もあるが、このときも空振りに終わるかもしれないが、尋問事項は入念に準備しておかないといけない。来ないだろうとたかをくくっていたら証人が来て、けっこういい証言をしてくれることもある。来ないだろうとたかをくくっていた時に急に証人が来ると慌てて聞くべき事を忘れるかもしれない。来るはずがない証人を呼ぶときでも、期日が始まって30分くらいは気を抜かないで待たないといけない。遅れてひょっこり表れることもあるからである。
昔は破産事件で審尋がよくあったので、破産者が来ないということもよくあった。日を間違えていたり、ゆっくり来たり、いい加減な人も多かった。最近は審尋が減ったのであるが、昔の苦い経験を生かして、前々日までに事務員に確認して貰うようにしている。