徹夜
犯罪被害を受けた場合、刑事手続で被告人が処罰されたとしても、それで事件は終わりません。たとえば、働き手の父親が死亡してしまった場合、父親が稼げるはずであったお金について、被告人に対して損害賠償請求をするのかどうするのかという民事上の問題が残ります。
犯罪被害者給付金という制度もありますが、これは額が低く(最高額が死亡の場合1500万円ほどで、交通事故の自賠責保険の上限である3000万円よりも低い)、国による補償はあてに出来ません。
それでは、民事の損害賠償請求訴訟をすればよいではないかという声も聞かれるかも知れません。しかし、まずもって損害賠償請求をするについては、弁護士費用、印紙代(たとえば2000万円の請求をする場合には約8万円かかります)という費用の壁が立ちはだかる一方で、被告人に対して判決を取ったとしても、被告人に財産がなければ一円も回収出来ないこともあるのです。よく、判決を取ったら相手に支払ってもらえると誤解されている人もいますが、判決はただの紙切れであり、相手の財産に強制執行出来る権限を与えてくれるに過ぎません。判決を取ることと、現実に損害が回復されることとは全く別のことなのです。これは犯罪被害者事件だけに言えることではありませんが。
私は、国は余計なことに税金を支出しているのではなく(官僚の天下りや、随意契約による税金の無駄遣い、無駄な公共工事-年度末になったら予算消化のために何をしているのか分からない道路工事が増えますよね)犯罪被害者給付金の上限金額を3000万円とすることとともに、将来的には、被告人に対して確定判決を取得したような場合には、国が被告人に成り代わり一定の事件については賠償額を立て替えて支払い、その後国の権力でもって(税務署の調査能力を使えば財産調査は容易だと思います)、被告人から回収していくという制度構築をしていくべきとかつてから提言しています。
これは、犯罪というものは被告人によって引き起こされたとしても、被害者には落ち度がないことが多いことから、被害者の救済は社会全体の責任であるという理念に基づく提言であり、国がやる気になりさえすればすぐにでも可能な施策であると思っています。