外壁の検査でのポイントサイデイング編
住宅診断、いわゆるホームインスペクションにおいて、皆さんはどのような箇所が重要だとお考えでしょうか？
基礎や外壁はもちろんのこと、実は屋根の診断も非常に重要なポイントです。
住宅診断時高所カメラを用いて撮影するようにしています。
国土交通省が推奨する既存住宅状況調査では、屋根は「目視」での確認が基本とされています。そのため「高くて見えない」「反対側が見えない」といった場合でも、見える範囲に瑕疵がなければ、保険に加入できてしまうケースもあります。
しかし、私たちは「保険に入れるから良し」とは考えません。保険でカバーされても、実際に瑕疵があることは住まい手にとって大きな問題だからです。そのため、新築・中古住宅を問わず、屋根上を直接撮影し、詳細に診断することを徹底しています。
新築住宅でも油断禁物！意外と多い屋根の瑕疵
「新築だから問題ないだろう」と思われがちですが、これまでの診断では、新築住宅の屋根でも以下のようなケースに遭遇しています。
スレートや瓦の割れ、欠損：足場の解体時や、他の業者が屋根を踏んだ際に破損してしまったケースです。施工中に気づかれないまま引き渡されることも少なくありません。
金属屋根の傷や切削粉の残存：ガルバリウム鋼板などの金属屋根は、割れることは稀ですが、施工時の傷や、切削した際に残った鉄粉が原因で化学変化を起こし、早期の劣化に繋がることがあります。
陸屋根の残置物：足場材や木材などが屋根上に放置されているケースがありました。これらは劣化の始まりとなるだけでなく、台風などの際に飛散し、思わぬ事故を引き起こす可能性があります。
複雑な屋根形状の弱点：複雑な形状の屋根は、雨仕舞の弱点が生じやすいことがあります。将来的に注意すべき箇所をお客様にお伝えすることで、早期のメンテナンスに繋がります。
これらの問題は、住み始めてから気づくことが多いですが、事前に発見することで、未然にトラブルを防ぐことができます。
中古住宅では屋根の状態が「家の寿命」を左右する
中古住宅の場合、屋根の診断はさらにその重要性を増します。
高額なメンテナンス費用：屋根のメンテナンスや修理は費用が高額になることが多く、購入後の思わぬ出費に繋がりかねません。
雨漏りは家の重大な瑕疵：雨漏りは住宅の構造に大きなダメージを与え、家の寿命を縮める重大な瑕疵です。屋根を詳細に確認することで、雨漏りの可能性が高い箇所を特定し、早期の対策を促すことができます。
築年数に応じた劣化判断と今後のメンテナンス計画：単に「割れている」「ズレている」といった現状の瑕疵だけでなく、築年数を考慮した上で屋根材の劣化具合を判断します。これにより、「あと何年くらいでメンテナンスが必要か」といった具体的な情報をお客様に提供し、購入後のライフプランを立てる上での参考にしていただけます。
屋根の状況を把握することで、天井や小屋裏に入った際の雨漏り調査もより限定的に、そして正確に行うことが可能になります。実際に、屋根上からの情報があったからこそ、雨漏りの兆候を早期に発見できたケースも少なくありません。
非破壊・目視診断の限界を超えるために
住宅診断は、原則として非破壊かつ目視で行われます。そのため、すべての瑕疵を発見できるわけではありません。しかし、その制約の中でも最大限の情報を得るために、私たちは屋根上までしっかりと目視・撮影して確認することを重視しています。
基礎や外壁と同じく、外から見て、そして内部を推測することで、住宅診断の精度は格段に向上します。お客様が安心して暮らせる住まいを提供するために、これからも私たちは屋根診断の重要性を訴え、丁寧な診断を心がけてまいります
