ホームインスぺクションのあれこれ 基礎編1

ホームインスペクションにおける床下調査の重要性について
床下は、住宅の履歴書とも言える場所であり、その建物の過去の状況や現在の健康状態を判断する上で欠かせない情報源です。既存住宅状況調査では点検口から見える範囲に限られますが、ホームインスペクションにおける詳細な侵入調査は、以下のような点でその真価を発揮します。
中古住宅における床下調査の重要性
1. 地盤状況の把握
床下の地面や基礎の立ち上がりには、地盤沈下や不動沈下の兆候が現れることがあります。特に、地盤より低い箇所や化粧が施されていない基礎の内側は、これらの症状が明確に出やすい部分です。長年かけての沈下なども多くその土地の性質が解ります。
2. 湿気やカビの有無
土地の湿気は、白華現象やカビの発生、さらには木材(束、土台、大引など)への湿気の影響として現れます。これらは住宅の構造材の劣化に繋がり、耐久性を著しく低下させる可能性があります。
3. シロアリ被害の早期発見
シロアリの被害は、点検口からでは見えない場所に隠れていることが多く、初期段階の蟻道であれば内装に被害が及ぶ前に予防的な対策が可能です。
4. 建築当初の手抜き工事の発見
残念ながら、建築当初の手抜き工事が床下に隠されているケースも少なくありません。通常は見えない場所だからこそ、専門家による詳細な調査が不可欠です。
新築住宅における床下調査の重要性
新築住宅の場合、一見きれいに見える内装や外装に比べて、床下は引き渡し時にはすでに隠れてしまっているため、見落とされやすいポイントです。しかし、新築時だからこそ確認すべき重要な瑕疵が潜んでいることがあります。
1. 断熱材の落下や欠損
床下の断熱材は、施工後にすぐ隠れてしまうため、落下、欠損、施工不良が見過ごされがちです。これらは断熱性能の低下に繋がり、快適な居住環境を損なう可能性があります。断熱材の施工は法定検査や瑕疵保険の対象外の事が多く見過ごされることがあります。そのため第3者機関の検査をおすすめします。
2. 水漏れや配管の瑕疵
床下の配管に水漏れや接続不良がある場合、水道メーターに反応しない程度のわずかな漏れであっても、長期的に見れば住宅の構造に悪影響を及ぼします。実際に水道検査後の新築住宅の床下で数回水漏れを発見したことがあります。早期発見の為大事に至りませんでしたが、ほっておくと大変な事になっていたでしょう。また、人通口を塞ぐ配管や、接続されていない排水管など、施工不良がも散見されます。
3. 基礎のクラック
新築時に発生しやすいヘアークラックなども、外壁面は化粧で隠れていたり、間仕切り下の基礎は外部から確認できない場合があります。
4. 重大な瑕疵の発見
稀ではありますが、図面と異なる基礎の位置や、基礎と土台の位置のずれなど、住宅の構造に関わる重大な問題が床下で発見したこともあります。
結論
床下は、住宅の構造や環境に関する重要な情報が詰まった場所です。新築・中古住宅を問わず、隠れてしまう場所だからこそ専門家による徹底した検査が必要です。
ホームインスペクションにおける床下への侵入調査は、住宅の潜在的な問題を早期に発見し、安心して住み続けるために不可欠なプロセスであると言えるでしょう。
床下の状況にご不安がある方は、ぜひ専門家へお問い合わせください。



