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「塾ジイの日記」26 ―ヤル気の正体-

久保克己

久保克己

テーマ:受験生のモチベーションの保ち方

出口利光(でぐち りこう)と申します。40年間進学塾で教鞭をとり、5年ほど前に定年退職しました。今では自宅のアトリエで趣味の油絵を楽しむ傍ら、近所の小中学生に勉強を教えています。最近親御さんや子ども達から学習や受験に関する相談を受けることが増えました。この度、子どもやその親御さんに伝えてきた学習や受験のノウハウが本当に妥当かどうかを自らで立証すべく行政書士試験に挑戦することにしました。これまで自身が発信してきた他人に向けたアドバイスや指導に則った行動を取ることにより、当事者としての感じ方や課題をこの日記に綴っていこうと思います。

4/27(土)
早いもので予備校に入学し受験勉強を始めてから3か月が経過した。この間、憲法、民法の講義を受けた。3か月前には全く知らなかったことが、「知っている」とまではいかないにしても「聞いたことがある」というレベルには到達していると思う。完全に記憶しているかどうかは別にして、これはわしにとってかなり凄いことじゃ。併せて復習でのアウトプットの項目数が600くらいになっていることもこれまでの自分ではイメージできなかったことじゃ。この状況を見ると【ヤル気とは歩みの足跡である】ような気がする。だから、「ヤル気になってから勉強しよう」というスタンスは「一歩も踏み出していないのに足跡を付けよう」としているのと同じじゃ。つまり【ヤル気になってからやるべきことをやろうとすることは不可能】だということじゃ。【やり始めるからヤル気になる】というこれまでの受験生への指導は、決して間違っていなかったことが自らの体験を通して再認識できた。

「GWの悲劇」を回避せよ!

行政法の科目になり、暗記すべき事項が急増した。本試験の問題が「知っているか否か」を問う設問が大半なので行政法は理解より暗記にウエートをかけるべきである旨ガイダンス時に聞いた。前回の日記で書いた目と耳をフル稼働させる学習方略が功をそうするような気がする。特に前回の日記で書いた自作の小テストの解説を自分で録音し、それを歩きながら、入浴しながら、眠りながら聞く方略は予想をはるかに上回る効果を実感している。
☛「塾ジイの日記」25  https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5159463/
このように、やっと学習のリズムが整ってきたところで、いよいよ「魔のゴールデンウイーク」がやってくる。わしは仕事を引退しているのでスケジュールが大きく変わることはないが、様々な人たちからこの期間中のお誘のいが入る。これ自体は非常にありがたいことじゃが、トラップにハマると大変なことになるから注意が必要じゃ。
☛GWの悲劇 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5112365/
生活パターンが不規則になるこの時期に普段と同じ学習量を確保することに越したことはないが、重要なのは必要最低限のペースを維持すること、つまり【何もしない空白の日を作らないこと】が極めて重要じゃ。
☛ボイスコラム10 その2  https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5151716/
前回の日記で取り上げた【βエンドルフィン】の影響だろうか、最近学習しているとなんと言うか…気持ちよくなることがよくある。おそらくこれは、マラソンでの【ランナーズハイ】と似た感じなのだろう。言い方を変えれば【脳が麻痺している】ということか。一応この状況を【ラーナーズ(learner’s)ハイ】と命名しておこう。

スモールステップによる限界点突破

先日予備校のY先生のブログで「どうやれば行政書士試験に合格できますか?」という生徒さんからの質問に対して「ご自分の限界点を知ってください。そして、その限界点を少しだけ超えれば、合格できる可能性は格段に上がります」という回答をされていた。至極まっとうなアドバイスだと思った。このメッセージは裏を返せば「限界点を超えるところまで努力を継続すれば、誰にでもチャンスがある」ということじゃ。しかしこれは学習時間を長く確保するという意味ではなく、【限られた時間内での作業効率を極限的に高める】と捉えた方が良いのだろう。それを実現するための最大のポイントは【睡眠時間の確保】じゃ。最近ここがやや危うくなってきているので、ゴールデンウイーク中に学習と晩酌計画を練り直すことにしよう。【ひとつでも多くの足跡を残す】ことを座右の銘に、残りの6か月あまりを踏みしめて行こう。

*人物名等はフィクションです
*参考書籍:
 「デキる大人の勉強脳の作り方」池谷裕二 監修
 「脳を一番効率よく使う勉強法」福井一成 著
 「成績が上がる学びの習慣」紀野紗良 著

*drawn by 蒼りんごさん

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久保克己(塾講師)

株式会社京進

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