心音調律的な社会生活⑤

世界は響き。
長い説明はいらない。
ただそれだけでいい、そんな気がしています。
私たちは普段、世界を「物」として見ています。
人。
仕事。
会社。
社会。
それぞれが独立して存在しているように見えます。
けれども、少し静かにしてみると、
別の感じ方が現れてきます。
世界は、固い物の集まりではなく、
関係の中で揺れ動くものとして感じられる。
風が木を揺らす。
声が人の心を動かす。
ひとつの言葉が、人生を変えることもある。
それはまるで、
森羅万象が互いに響き合っているかのようです。
私は、
聴診器で自分の心音を聴く習慣を続けています。
トクン。
トクン。
静かな音です。
その音を聴いていると、
ふと気づくことがあります。
この鼓動は、
自分が動かしているわけではない。
それでも、確かに鳴っている。
そしてその響きの中に、
自分が生きているという事実が現れています。
心音を聴いていると、
世界が少し静かになります。
そして不思議なことに、
人の存在も、自然の気配も、
どこか響きとして感じられてくることがあります。
森羅万象。
すべてが、それぞれの音色で鳴っている。
そう思うと、
世界の見え方が少し変わります。
競争する世界から、
響き合う世界へ。
争う存在から、
共鳴する存在へ。
だから今は、
この一言で十分な気がしています。
世界は響き。
そして私も、そのひとつの響き。
響き合う世界に、
そっと身を置いて生きていきたいと思います。



