自身が「響いて居る」ことを感じて生活する!

―― Resonant を呼び起こす働き ――
どこから来たとも
どこへ行くとも
名づけがたいものがある。
あれか、
これかと
指さそうとしても、
指の先よりも先に
するりとほどけてしまう。
形になる前から
かすかにひびき、
形になったあとも
なお揺れつづける。
これを
ただ“不思議態”と呼んでみる。
*
ある日、
胸の底で
淡い風が動き、
言葉より先に
ひとつの響きが立ち上がった。
「Resonant」と。
おのれが言いだしたというより、
向こうから
そっと近づいてきて、
ちゃん寅という
ひとつの通路を借りて
声になった。
宣言したというより、
宣言が
勝手に生まれた。
*
不思議態は
誰かのものではなく、
持つことも
失うことも
できない。
ただ、
その時その場に
ふさわしい姿を選び、
必要な人の
必要なところから
現れるだけ。
竹林の風のように、
水面の波紋のように、
空の雲のように、
誰が動かしたでもなく、
世界の方が
すでに動いている。
*
Resonant もまた
そのひとつの現れ。
ちゃん寅が
つくったのではなく、
不思議態が
ちゃん寅の声色で
歌っただけのこと。
その歌が、
これからも
別の調子で
別の誰かを通して
響いていくのだろう。
*
不思議態とは
捕まえられぬ働き。
しかし、
確かに感じる働き。
名づけても
名の外に流れつづける、
あの不可思議なる流れのこと。
いまも、
ここで、
ひとの心を通り抜けながら
さまざまな姿で
ひらきつづけている。



