中学入試・国語の得点力アップ

村元謙二

村元謙二

テーマ:中学受験を考える

他塾と併用の小5の生徒が最近の公開模試の成績を持ってきました。
算数も理科もいい成績なのに、国語だけがもう一息です。
賢い生徒なので、国語の学習の仕方がわかっていないだけなのでしょう。
学習の仕方がわかっていないためか、文章の読み方も、答えの選び方も、あまり気合いが入っていません。
算数や理科は気合いの有無に関係なしに、自分の実力どおりの得点がとれます。
しかし、国語は気合いの有無で点数の差が大きくなる教科です。
例えば、問題上で解答を選択する場合、易しくいかにも合っていそうな答え(実は×)と、難しくちょっと見つけにくい答え(本当は○)が混在しています。
つまり、テストというのは、生徒の実力そのものを見るというよりも、点数の差をつけるためのもの(これがいちばんの問題ですが・・・)であるため、素直な受験生はそのような裏の意図が隠されているとは思わず、合っていそうなところを選んで不正解になっていきます。
合っていそうな答えというこの一種の罠をよけるには、気合いが必要です。
浅く読めば罠の方を選んでしまいます。深く読む子は罠をさけることができます。
国語の問題はそういう仕組みになっていて、国語の得意な子は、問題を解くときに集中力を発揮しこの罠を回避していきます。
算数や理科の問題を解くとき、このような恐る恐る一歩ずつ歩を進めるような集中力は必要としません。
しかし、国語の問題を解くときには、この独特のこつが必要なのです。
その生徒の持ってきた模試の答案を見てみると、やはり次のようなことがわかります。
まず、問題文をきれいに読んでいます。
本文が汚れていません。
印象に残ったところに傍線を引きながら読んでいれば、再読するときに楽なのですが、きれいに静かに読んでいます。
これでは準備不足です。
次に、選択問題では、漠然と選択肢を選び○をつけているという答え方になっています。
こういう解き方をしていると、必ず罠にひっかかってしまいます。正しい選択問題の解き方は、まず絶対違うと思うものから×をつけ、残ったものを○にするという解き方です。
そのためには、ひとつひとつの選択肢について、どこの部分が×なのかという根拠をはっきりさせる必要があります。
そして、それを頭の中でするだけでなく、実際に選択肢のこの部分が×だから×ということを書いておきます。
そうすれば、試験が返却されたあとに、自分のテストを見直すことができます。こういう見直しのできない生徒は、ただ点数だけを見て、「合ってた」「合ってなかった」とやるだけなので、いくらテストを受けてもスキルがあまり身につきません。
記述問題についても同じことがいえます。
「文中から選んで書きなさい」となっているような設問では、やはりわかりやすく易しい罠(実は×)と、ちょっとわかりにくい答え(これが○)とがあります。
一般に、易しい罠は、設問となっている箇所のすぐ近く、多くは直後にあります。
しかし、そんなところにわかりやすく書いてあるような答えだとしたら、みんなが○になってしまうので、テストの意味がありません。
つまり、こういう裏を考える必要があるのです。
本当の答えは、ほとんど遠いところにあります。
難問になると果てしなく遠いところに答えとなる部分が書いてあります。
また、多くの生徒は設問となっている箇所のあとの方を探すことが多いので、その反対に前の方に答えとなる部分が書いてある場合もあります。
ここで大事になるのが、その問題がどういう難易度で出されているかということです。
易しい試験であれば、直後に本当の答えがあることもあります。
難しい試験であれば当然近くには答えはありません。
だから、志望校を受験するときは、その学校の過去問に取り組み、その学校の国語の問題がどの程度の難易度で出されているかを知っておく必要があります。
易しい問題であるのに、裏を読みすぎて×になる場合ももちろんあるからです。
漢字の問題は単独で出ているように見えますが、実は熟語の問題として出されていますから、単に漢字の書き取りをやっているだけではできません。
例えば、ひとつひとつの漢字は知っていても、熟語になると書けないということがよくあります。
どのように学習したらよいのでしょうか。読書で自然に身つけるのがいちばんいい学習の仕方です。
ただし、子供の読む本は易しい本であることも多いので、意識して難しい本も並行して読んでいくことが必要となります。
この「並行して読んでいく」というのが大事です。
易しい本ばかり読んでいては、難しい語彙は身につきません。
しかし、難しい本ばかり読んでいると、読書がはかどらないので多読ができず、その結果、速読力がつきません。
国語の得意な子は、難しい本も読んでいますが、易しいくだらない本も読んでいます。
どうしても難しい本を読むまとまった時間がとれないなら、新聞・全国紙や入試問題を読むことをお勧めします。
ただ、全国紙では生徒たちにとって興味を引く記事は少ないので、週に2.3回と日にちを決めて取り組み、興味を持てれば回数を増やすというようなやり方が適しているようです。
入試問題は週1.2回本番と同じ感じで取り組むと解答の仕方と難読の両方にあたることができます。
国語の問題の解き方をこのように実際に即して説明すると、ほぼすべての生徒が次のテストから成績が急に上がります(笑)。
しかし、この場合実際にその生徒の行った試験をもとにして説明することが大事で、一般論の説明だけではなかなか理解できません。
したがって、国語のテストの見直しは、試験の直後に、本人が心から困っているときに行うのがいいということになります。
まとめてみると、まず第一は、問題文を傍線を引きながら読み、再読しやすくすることです。これは、普段の問題集や参考書でも同様です。線を引いて自分のものにしておくと、あとから活用できるようになります。
第二は、選択問題は×となる部分に×を記入し、×でないものを○としてを選ぶことです。最初から○を選ぶと、浅い答えになる確率が高まります。
第三は、記述問題は、問題文全体の近くからも遠くからも、後の方からも前の方からもいくつか候補を選んでから記述することです。
設問の直後にすぐわかるように書いてあるものは、答えでないことが多くあります。
ただし、易しい試験では、直後に答えがある場合ももちろんあります。
その試験が難しい答えを要求しているか易しい答えを要求しているかは、やってみなければわかりません。
だから、志望校の過去問の研究が必要になるのです。
第四は、問題文の全体を素早く読むために速読力と難読力をつけることです。
そのために、毎日の読書は欠かせません。読書は最低でも1日10ページ以上で、できれば毎日50ページ以上を目標にします。
また、普段の読書以外に、入試問題集の問題文を読書がわりに読む練習もしていきます。
第五に、模擬試験などがあったら、その直後に、もう一度理詰めに正しい答えを確認しておきます。
しかし、国語の問題の中には、答えが間違っているものもあります。
保護者の方が考えても、もなぜその答えになるのか理解できないという問題は、できなくてもいい問題と考えておきます。
理詰めで説明できる問題だけを確実にできるようにすることが国語の試験で安定した高得点を取る早道です。

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村元謙二
専門家

村元謙二(塾講師)

アルゴ・システムズ

一人ひとりに合わせたオーダーメイドの「成績が上がるシラバス」を作成。個別指導で理解を深めながら、万全の入試対策で第一志望校を目指す。豊富な経験と、個人塾の良さを生かしたアットホームな指導体制が強み。

村元謙二プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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