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Vol.41 孔子は泣いている?現代社会における「立たず、惑い、毒を吐く」人生について

土居郁男

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テーマ:キャリア

孔子は泣いている

孔子の「人生の道しるべ」

子(し)曰く、
吾十有五にして学に志す。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順(した)がう。
七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。

この言葉は、古代中国の思想家・孔子が自らの人生を振り返り、年齢ごとの成長と到達点を語ったものです。
それぞれの年齢には、こんな意味があります。

十五歳(学に志す)

学問や修養に強い関心を持ち、自発的に志すようになる

三十歳(立つ)

社会の中で自立し、自分の道を歩み始める

四十歳(惑わず)

物事に動じず、迷わなくなる。自分の価値観が定まる

五十歳(天命を知る)

自分の役割や人生の意味を理解し、受け入れる

六十歳(耳順う)

他人の意見にも素直に耳を傾けられるようになる

七十歳(欲する所に従って、矩を踰えず)

自由に生きながらも、道徳や節度を自然と守れる境地に達する
つまりこれは、人間として成熟していく理想の過程を、まさに肯定的に描いた、人生のガイドラインのような言葉です。

しかし、現代はどうだろうか?

もし孔子が現代の日本と日本人の社会を見たら、きっと目を丸くするのではないでしょうか。

社会は豊かになり、技術は進歩したはずなのに

『人生の各段階で何かがうまく噛み合っていない』

そんな感覚を覚えることはありませんか?

「現代版・論語」▷悲しい逆再解釈

そこであえて、孔子の言葉を「乱暴に」、現代社会に当てはめてみます。
すると、こんな姿が浮かび上がります。

十五にして学を捨てる

受験に追われて「勉強嫌い」になり、学ぶ楽しさを失う。

三十にして絶望する

社会の歯車にはなれたが、自分の未来には希望が見えない。

四十にして惑いまくる

キャリアも家庭も不安定。「このままでいいのか」と迷走する日々。

五十にして毒を吐く

積もった不満を周囲にぶつけつつも、誰からも叱られなくなっている。

六十にして耳を塞ぐ

若者や新しい価値観に心を閉ざし、「昔は良かった」とつぶやく日常。

七十にして諦める

老後の不安を抱えつつも、「もう仕方ない」と目を閉じて過ごす。
これが、わたしの考えてみた 「理想」の反転像 としての現代の人生観。その一例です。
もちろん、誰もがこうだと言いたいわけではありません。
ですが、いかがでしょう?
どこか胸に刺さるものがありませんか?

自分も講師業が長くなってきていますし、普段キャリアについて多くの年齢層に向けた講義もよくしていますが・・・やはり近しい価値観や人生観に囚われてしまっている方を多くお見かけします。

問われているのは「学ぶ意味」と「生きる意味」

今の日本の社会や一般的に教えられる概念は、

  • 「学ぶ」 → 「いい学校へ行くため」
  • 「働く」 → 「生活のため」

というように、手段が目的化してしまっています。

その結果、

  • 「自分が何のために生きているのか」
  • 「何を大切にしたいのか」

を考える時間が失われてしまったのです。

しかし、わたしの考える肯定的な学びに関する意見としては、

学ぶことは、学生のものではなく、生涯重要で今をもっとよりよく生きるための行為であること。
わたしたちの生きる意味は、何かの知識や勉強によって、誰もが同じように得られるものではなく、自らの体験や行動によって形作られていくものであること。
それらによって、生涯を感謝しながら豊かに生きて、自らの死さえも安心して受け入れられるほどになること。

そんなふうに考えています。
もっと、私たち一人ひとりが本当の意味でちゃんと人生に対し、能動的に関わっていく、考えられるようなサポートがある・・・そんな社会構造であればいいなと思います。

孔子が微笑む未来のために

かつて孔子は、人生を通じて「成熟していくこと」を尊びました。
現代の社会にも、学び直しやキャリアの再設計、自由な生き方と人生観を考え直せるよう支援する動きは少しずつ広がっています。

でもそれを、ここまで成熟しきった負の感情の多い社会の中で、本当の意味で「全員のもの=民主化」にするには、
社会全体が問い直すための「刺激的なきっかけ」や、もしかしたらAIに代表されるテクノロジーなどの技術が必要かもしれません。

問いかけましょう。
「あなたは、なぜ学ぶのか?」 「あなたは、どう生きたいのか?」


孔子が今も見守っているとすれば・・・
私たちがその問いを持ち続ける限り、彼はきっともう嘆かずに済むのではないでしょうか。

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専門家

土居郁男(プログラミング講師)

スターティングPCスクール(Stapa Programmer’s Guild)

生徒一人ひとりと対話して向き合い、本人自身も気づいていなかった強み、興味、関心、特徴などを見つけます。各自のプロジェクトを通じて、楽しみながらプログラミングを学べる、自由な雰囲気の教室です。

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