Vol.11 対話の中に眠る、かけがえのない宝物

少し前、興味深い調査結果が発表されましたね。
現役東大生100人へのアンケートで、8割近くが「学習の基盤は国語力」と答え、その国語力を育む上で最も重要だったのが小・中学生時代の「読書」と「対話」だったというのです。
この結果を読んで、自分も日頃からプログラミング教育で実践している「対話を重視した学習」の重要性を改めて実感しましたので、そのことについて書いてみたいと思います。参考リンクは以下より。
学力の土台は「国語力」
「対話」が学びの質を変える
東大生たちが振り返って「国語力の基礎は幼少期から小学生時代に本をたくさん読んだことと対話で培った」と答えているのは、単なる偶然ではないかと思いますし、同じように話されている方が多くいます。
まず、「対話」には以下のような学習効果があるとされています。
思考の言語化:自分の考えを相手に伝えるプロセスで、曖昧だった理解が明確になる
多角的な視点:他者の意見を聞くことで、自分では気づかなかった観点を発見できる
論理的思考の訓練:相手に分かりやすく説明するため、筋道立てて考える力が身につく
これらは、まさにプログラミング学習においても欠かせない要素です。
プログラミング教育での「対話」の実践
自分がふだんのプログラミングスクールで大切にしているのは、教材やツールに頼り切るのではなく、
「ツールをツールとして適切に活用しながら、対話を通じて学びを深める」
ことです。
従来の課題:教材依存型の学習
多くのプログラミング教育では、一般的に決められたカリキュラムに沿って、「特定の教材」や「プラットフォーム」の指示通りに進める形式が主流です。しかし、これでは
- 表面的な操作は覚えても、根本的な理解が不足する
- 応用力や問題解決力が育ちにくい
- 受動的な学習になりがち
となりやすい傾向があります。
対話型・プロジェクト型学習のアプローチ
自分が実践し、また今も目指し続けているのは、以下のような学習スタイルとなります。
1. 目的設定からの対話
「何を作りたいか」「なぜそれを作りたいか」から始まる対話で、学習者自身の動機を明確にします。
2. 試行錯誤の共有
エラーが出たときや想定通りに動かないとき、「なぜだと思う?」「どうしたら解決できそう?」という対話を通じて、問題解決プロセスを言語化します。
3. 振り返りと改善の対話
完成後も「他にどんな方法があったか」「次はどう改良したいか」を話し合い、継続的な学びにつなげます。
教材・ツールとの適切な付き合い方
しかしもちろん、教材やツールが不要というわけではありません。ここは「バランス」が重要で、カギとなるのは「依存しない使い方」ということだろうと思います。
- 目的を明確にしてからツールを選ぶこと。
- ツールの機能に合わせるのではなく、自分の目標に合わせてツールを使うこと。
- 複数のツールを比較検討して、なぜそのツールを選んだかを自分なりに言語化できること。
本当意味での学力とは何か
東大生の証言からも分かるように、本当の学力とは単なる知識の蓄積ではないと考えています。
読解力、思考力、表現力という、どんな分野でも応用できる基礎的な力がもしかしたら、「それ」なのではいでしょうか。
少し乱暴すぎでしょうか?(><)
プログラミング教育においても同様で、特定の言語やフレームワークの知識よりも、「論理的に考え、試行錯誤し、問題を分解して解決する力」こそが本質的なスキルと言えます。
そしてそれは、プログラミング学習をしているはずなのに、他の分野の学習や日常生活、社会適応においても重要そうではあります。
これからの教育に必要なこととは?
AIの急速な発達によって、残念ながら多くの「単純な知識」や「手順の暗記」はますます価値を失っていきそうです。
代わりに重要になるのは
- 対話を通じた深い理解
- 自分で考え、判断する力
- 他者と協働しながら新しい価値を生み出す力
これらの力は、昔から語られてきたものではあるものの、一朝一夕では身につかず、子どものことからの継続的な対話の積み重ねが必要となります。
それはおそらく、「テストで得点を多くとることよりも大事」なスキルと言えるかもしれません。
まとめ
リンクにある東大生100人のアンケート結果は、保護者や教育者、学校や学習塾の先生にとって重要な示唆を与えてくれているのではないかと思います。
どんな分野であっても、学びの基盤となるのは対話を通じた理解の深化なのでしょう。
今実施しているプログラミングスクールや学習塾においても、最新のツールや教材を追いかけるよりも、対話を大切にした学習環境を整えることを大事にしていきたいと考えています。
みなさんは、いかがでしょう?
「対話」ちゃんとできていますか?



