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尾池正幸

不動産買取りと保険付き中古リフォーム再販のプロ

尾池正幸(おいけまさゆき) / 不動産コンサルタント

有限会社パークホーム

コラム

不動産(土地や住宅)を生前贈与するメリット!

2017年4月22日 公開 / 2019年4月11日更新

テーマ:不動産の生前整理・相続

コラムカテゴリ:住宅・建物

不動産の生前整理・相続


相続と贈与の大きな違いは税金です。一定額以上の財産の相続を行う時にかかる相続税は、遺された財産が高ければ高いほど、高い税率となっていきますが、こうした遺産を「生前に贈与してしまい、相続税を逃れよう」という人たちを逃さないよう考えられたのが、贈与税です。

贈与税は1年ごとに課税されるもので、相続税に劣らず税率も高いですが、「相続時精算課税制度」などの制度を賢く使って、不動産を生前贈与することにより相続税を抑え、より多くの財産を相続人に遺すことが可能です。

不動産の生前贈与と相続は何が違う?

今回は不動産の生前贈与についてのお話をしてみようと思いますが、まずこの「生前贈与」とは、読んで字の如く、生きている間に持っている不動産を誰かに贈与、つまり「上げてしまう」ことを意味します。

生前贈与が行われなかった場合、不動産の持ち主が亡くなってしまうと、その不動産を相続人が相続することになる訳ですが、この贈与と相続の違いは具体的にどのようなものか、みなさまはご存知でしょうか?

相続税と贈与税

まず相続と贈与の大きな違いは税金のかかり方が違うということです。

相続の際にかかる税金のことを相続税と呼び、3000万円+(600万円×法定相続人の数)以上の価値のある遺産を相続した場合、課税の対象となります。この計算式ではじき出される数字は、基礎控除額と言われ、相続した価格がそれ以下なら税金はかからず、それ以上であった場合、基礎控除額を引いた金額が税金の対象となる訳です。税率はそれらの金額によって変わりますが、1000万円以下でも10%から6億円以上になると最高55%、つまり半分以上という高い税率がかかることとなります。

この相続税は平成27年に改正されたことにより、より安い相続額から課税の対象になるようになり、しかも最高税率は上がっているのですが、改正前であっても、決して安くはありませんでした。

ということは、「大切な人に残す遺産の大部分を税金で取られてしまうのは忍びない。相続税を払わないためには、どうすればいいのか?」「そうだ、自分が死ぬ前に遺産を贈与してしまえばいいのだ」と考える人が出て来てもおかしくはありません。そこで、そうした相続税逃れができないように考えられたのが、贈与税と呼ばれるものです。

こちらは、「1年ごとに生きている人から贈与された金額に対して税金がかかる」というものですが、1年で110万円以上の贈与が行われた場合には課税の対象となります。相続税逃れを防ぐために考えられた税な訳ですから、こちらの税率も決して安くはなく、しかも贈与された金額が大きければ大きい程、税率も高くなっていきます。

では、結局「生前贈与は相続に比べてメリットがない」ということなのでしょうか?
そうではないことを、次項でご説明します。

不動産の生前贈与のメリット

贈与税を払ってでも生前贈与を行うメリットは、何と言っても相続税を減らすことにあります。当然、一定の金額を贈与すれば、渡したい相手にお金は渡っても、あなたの財産そのものは減る訳ですから、相続する資産の金額も減ります。
さらに一定額以上に相続する金額を減らすことができれば、税率が下がることや、うまく行けば基礎控除内に相続額が収まることもあります。

こうした贈与は、合意さえあれば、好きな相手に比較的短期間でできることも魅力ですが、特に親から子や、おじいちゃんおばあちゃんから孫への贈与の場合、「相続時精算課税制度」と呼ばれる特別な制度が利用できる可能性があります。

この相続時精算課税制度とは、65歳以上の直系尊属(祖父母や父母)から20歳以上の者に贈与を行う場合、「2500万円までは税金がかからない」という制度です(直系尊属が条件のため、義理の父母などの場合は対象になりません)。

ただし、これらは贈与時には課税はされませんが、相続時にこれらの金額を加えた相続財産に対しての課税が行われます。

「結局、相続税でとられてしまうのか」と残念に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、不動産などをこの制度を用いて贈与した場合、その不動産物件から生じる家賃収入は自分ではなく、子供のところに入る訳ですので、自分の相続財産が増加するのを防いでくれるほか、不動産自体が値上がりした場合でも、贈与した時の値段で計算されるため、結果として相続税を減らすことができるという仕組みになっています。

不動産を生前贈与するためには、必要書類をまとめて法務局に提出する必要がありますが、書類の作成は数が多い上に、やや難しいところもあります。

もしも1人で不安な場合は、専門の行政書士や司法書士の方などに助けてもらうとよろしいかと思います。また、登録免許税と不動産所得税と呼ばれる費用がかかりますので、注意が必要です。

ただし、これらの手続きの面倒さや、かかる費用を前に尻込みをしているよりも、思い切って生前贈与を行った方が、最終的に相続の段階になった際に、遺された相続人が大きなメリットを受けることが数多くあります。自分の資産を大切な人に賢く遺す努力を怠らないようにしたいものです。

次は、相続した不動産(住宅や土地)を相続人で分けたい
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