外国人向け管理パンフレット

小堀將三

小堀將三

テーマ:その他


国土交通省は、外国人区分所有者向けに、「日本におけるマンション管理について」というパンフレットを公表しています。パンフレットは英語版と中国版の2つで、管理の基本的な考え方や制度、区分所有者の役割・責任などのほか、4月から施行される改正区分所有法で規定された「国内管理人」についても説明されています。
以下は、日本語版ですので、この内容が英語と中国語に翻訳されたパンフレットとなっています。
管理規約とは何か?総会とは何か?長期修繕計画とは?修繕積立金とは何かが説明されており、また、居住者にも知っておいて欲しいゴミ出し・騒音・喫煙のマナーについても説明されていますので、既に外国人の所有者や居住者がいらっしゃるマンションでは、是非、このパンフレットを活用していただければと思います。

   英語版
   中国版

 外国人区分所有者向け「日本におけるマンション管理について」(日本語版)

1.はじめに:日本におけるマンション管理とは?
日本の分譲マンションは、単なる集合住宅ではなく、住民同士が協力し合いながら快適な住環境を維持する「共生の場」です。また、賃貸マンションとは異なり、マンション購入者は「区分所有者」と呼ばれ、区分所有者は、ご自身が購入した専有部分だけでなく、マンションの外壁や屋根、エレベーター等の共 用部分の管理にも責任を持つ必要があります。マンションの管理に関する制度やルールは国によって異なりますが、日本においては、区分所有者で構成される「管理組合」という組織が主体となってマンションのルールを定め、管理や運営に関する意思決定を行うことで、マンションの安全性や資産価値を守っています。外国の方々にとっては少々馴染みのない制度もあるかもしれませんが、日本で安心して暮らすためには、「管理組合」をはじめとしたマンション管理の仕組みを理解し、積極的に関わることが非常に大切です。本パンフレットでは、日本のマンション管理における基本的な考え方や仕組み、皆さんが快適に気持ちよく暮らすための区分所有者として果たすべき役割などについて、わかりやすく紹介します。
2.管理組合(区分所有者)の基本的な考え方
日本の分譲マンションは私有財産の集合体であることから、その管理の主体は、マンションの区分所 有者で構成される管理組合であり、また、その構成員である皆さん自身です。そしてこの管理組合は、自らのマンションを可能な限り長く活用できるよう努めることが重要であり、自らの責任を自覚し、必要に応じ専門家の支援も得ながら、適切に管理を行うことが責務となっています。この点、国の方針としても、マンションの区分所有者は、管理組合の一員としての役割及び修繕の必要性を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める必要があるとしています。
3.マンション管理の2つの柱~管理規約と管理組合の総会~
●管理規約とは?
それぞれのマンションでは、マンションの管理や使用に関する基本的なルールとして「管理規約」が定められています。この管理規約は、区分所有者だけでなく、賃借人も含め、マンションに居住する全ての方に適用されることから、マンションの最高自治規範とされています。管理規約に規定されているルールはとても重要ですので、しっかりと内容を確認しておくことが必要です。
●管理組合の総会とは?
こうした管理規約の内容や、管理組合の事業計画、予算などの意思決定については、管理組合の「総会」と呼ばれる場で、区分所有者の多数決により行います。意思決定には、議案の提出、審議、議決というプロセスがあり、区分所有者の参加と合意形成が不可欠です。また、日々の清掃や設備点検、修繕対応などの日常的な管理行為については、管理組合から委託を受けた管理会社が担うことが多いですが、管理会社に委託する業務の内容などについても、管理組合の総会で決めることとなります。管理組合がしっかりと自らのマンションのことを認識し、透明性と協働性を高めることで、マンション全 体の資産価値と住環境の質が守られます。
4.マンションを長く使い続けるために!~長期修繕計画と修繕積立金とは?~
マンションの快適な住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、建物等の経年劣化に対して適時適切な修繕工事等を行うことが重要です。そのためには、将来予想される修繕工事等の内容や時期、費用等をあらかじめ「長期修繕計画」として定め、これに基づいた「修繕積立金」の額を設定し、積み立てることが必要です。日本のマンションでは、将来に向けて、区分所有者の皆さんで修繕工事等に必要な費用を計画的に積み立てていくことが一般的となっています。
●長期修繕計画とは?
マンションの外壁剥落事故の防止をはじめとする建物の安全性や快適性、資産価値を維持するために、「長期修繕計画」を作成し、定期的に見直すことが重要です。「長期修繕計画」とは、マンションの外 壁や屋根、エレベーター等の共用部分の修繕工事等の内容や時期、費用等(どのような工事を、いつ頃、どの程度の費用をかけて行うのか)を30年以上の計画期間で設定するものです。あらかじめ計画として作成し、区分所有者の皆さんで理解しておくことで、計画的かつ円滑に修繕工事等を行うことができます。
●修繕積立金とは?
長期修繕計画に基づき、将来見込まれる修繕工事等に必要な費用を、区分所有者の皆さんで計画的に積み立てていくのが「修繕積立金」です。必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足すれば、急な一時金の徴収や修繕工事等の延期につながることも考えられます。修繕工事等が適切なタイミングで行われず、建物等の劣化が進むと、安全性が損なわれる可能性も考えられます。マンションの安全性や快適性、資産価値を維持するためには、区分所有者の皆さんで修繕積立金の必要性を理解し、協力して計画的に積み立てていくことがとても大切です。
5.日常生活~相互が快適に気持ちよく暮らすためのマナーについて~
マンションに居住する方が快適な共同生活を送るため、それぞれのマンションで定められている管理規約や、お住まいの地域で定められている条例に基づいて生活を送ることが、他の住民との関係でも非常に大切です。管理規約に規定されているルールや自治体が定めるルールなどを遵守しない場合、住民同士のトラブルに発展する可能性も考えられますので、ルールを遵守して生活することが重要です。
●ゴミ出しマナーについて
日本のマンションでは、ゴミ出しのルールがとても厳格で、地域や建物ごとに細かく決められています。これは、清潔な環境を保ち、近隣トラブルを防ぐための大切な仕組みです。ゴミは「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「資源ゴミ(缶・瓶・ペットボトルなど)」などに分別され、それぞれ決められた曜日・時間に、指定された場所へ出すことが必要です。マンションによっては朝8時までに出すことが求められる地域も多く、夜間のゴミ出しは禁止されている場合もありますので、お住まいの地域・マンションの確認が必要です。分別が不十分だったり、ルールを守らないと、ゴミが回収されず、注意書きが貼られることもあります。 日本では「みんなでルールを守る」ことが重視されており、ゴミ出しもその一環です。マンションで快適に暮らすためには、こうしたルールを理解し、協力しましょう。
●騒音マナーについて
日本のマンションでは、静かな生活環境が重視されており、騒音は大きなトラブルの原因になります。夜間の大声や音楽、足音などは、隣人との信頼関係を損ねることもあります。中には壁が薄い構造の建物もあり、少しの音でも他の住戸に響くことがあります。日本では「周囲への配慮」が大切な価値観とされており、他の住民との共同生活を営むこととなるマンションでは特に重要です。快適な暮らしを守るためにも、音の出し方には十分な注意を払いましょう。あなたのマナーが、より良いコミュニティづくりにつながります。
●喫煙マナーについて
日本のマンションでは、共用部分における喫煙に関するルールが厳しく定められている場合がありま す。特に、ベランダも共用部分に含まれているため、ベランダでの喫煙には注意が必要です。共用部分での喫煙は、煙や臭いが他の住戸に流れ込み、健康被害や苦情の原因となることがあります。子どもや 高齢者のいる家庭では深刻な問題になりやすく、トラブルにつながることも考えられます。喫煙は個人の自由であると同時に、周囲への責任も伴います。指定された場所での喫煙を守り、快適で安全な住環境づくりに協力しましょう。
6.Q&A
●「管理費」と「修繕積立金」の違いは?」
「管理費」は、日々の清掃や設備点検、管理における人件費など、日常的な管理行為に要する経費のために毎月支払う費用です。これは、住環境の質を保つための日々の運営費とも言えます。一方で、「修繕積立金」は、長期修繕計画に基づき、将来見込まれる修繕工事等に備えて、毎月計画的に積み立てる費用です。 マンションの区分所有者は、この管理費と修繕積立金を管理組合に納める責務を負っています。こうした日々の運営費と将来に向けた修繕積立金を着実に積み立てることが、マンションの安全性や快適性、資産価値を長期的に維持するために非常に重要です。
●「管理費」や「修繕積立金」は返ってくるの?」
国土交通省が作成している、各マンションで作成する管理規約のひな形となる標準管理規約では、納入した管理費や修繕積立金について、その返還の請求などはできないことと規定されています。これは、管理組合の会計を安定させ、長期修繕計画に基づく修繕工事等の実施に支障をきたさないようにするためのものです。この標準管理規約はあくまでも管理規約のひな形となるものですので、詳しくはお住まいのマンションの管理規約をご確認ください。
●日本国内に住所や居所を持たない区分所有者はマンション管理にどのように関わればいいの?
海外投資家や別荘利用の方など、日本国内に住所や居所を持たない区分所有者の方々は、これまでに紹介したマンション管理にかかる区分所有者の役割をご自身で担うことが難しい場合があります。そういった場合に、2026年4月からは、海外に居住している区分所有者に代わって、国内に住所や居所を有する方を「国内管理人」として選任することができるようになりました。国内管理人は区分所有者に代わって、管理組合の総会における議決権の行使や、共用部分の管理 費の支払いなどを行うことができます。管理組合や他の区分所有者とコミュニケーションがとれる日本国内の親族や知人、弁護士などを国内管理人として選任することで、ご自身のマンション管理に間接的でも密接に関わっていくことが可能となります。
●マンションで民泊はできるの?
ご自身が購入したマンションの専有部分を活用して民泊の運営をしようとする場合、必ず管理規約を確認してください。管理規約において民泊を禁止している場合には、民泊の運営をすることができません。また、管理規約上に民泊の可否が明確に規定されていない場合には、管理組合に民泊を禁止する意思がないことを確認する必要があります。その上で、住宅宿泊事業法や、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例など、民泊関係の法律に則った運営が必要となり、こうしたルールに違反をすると処分や罰則を受ける可能性がありますので、十分に注意が必要です。
7.おわりに
いかがでしたか?マンション管理は、皆さんが安心して共に暮らすための大切な仕組みです。日本では、区分所有者同士が協力し、ルールを守ることで快適な住環境を維持しています。各国における文化や生活習慣の違いはありますが、様々な方々が日本で気持ちよく共生するために、管理費や修繕積立金の支払い、管理規約などにおけるマナーの遵守は、すべての人の暮らしを守るための基本です。お住まいのマンションにおける管理規約などを正しく理解し、積極的にマンションの管理に関わることで、より良いコミュニティが築かれていきます。あなたの正しい行動が、未来の住まいを守ります。

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小堀將三
専門家

小堀將三(マンション管理士)

マンション管理士事務所JU 高知オフィス

第三者の立場に立って絶えず公平な判断を下し、管理組合様と管理会社の良好な関係ができるよう、両者をつなぐ役目となることを目指します。大規模修繕工事、管理規約の見直しなど、様々なお悩みに寄り添います。

小堀將三プロは高知放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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